ビットコイン開発の中心人物、マイク・ハーン氏が「ビットコインは失敗作だ」というコメントを自らのブログに投稿し、次なる「実験」に取り掛かるべく、所有しているビットコインをすべて売却し、ビットコイン・プロジェクトから身を引く決意を明らかにした。

Googleのシニア・ソフトウェア・エンジニアとして7年間のキャリアを積んだ後、2014年にビットコイン開発者に転身したハーン氏は、長文にわたるブログの中で「ビットコインがあくまで実験であり、失敗を恐れず失っても痛くない範囲で投資するように――と繰り返し主張してきた」という前置きとともに、ビットコインが非常に危険なレッドゾーンに突入したことを警告した。

ハーン氏は失敗の主な原因として、ブロックチェーンの過半数を管理している中国のデータセンターや一部の「権力者」を保護するために、ブロックサイズ(キャパシティー)の引き上げに消極的なコミュニティーの姿勢を挙げている。

ネットワークの大混雑は既に対応不可能レベル

キャパシティー問題に関しては、ギャビン・アンドレセン氏との共同開発で、ブロックサイズを8メガバイトまで増やせる「 Bitcoin XT」を昨年8月に発表したにも関わらず、「ビットコインの美点の1つはデモクラシーの欠落だ――と公言するある人物によって抹殺された」詳細をブログ上で告発。

「ビットコイン・ネットワークは未だかつてないくらいに混雑している。もうこれ以上は対応不可能だ」

経過はどうであれ「失敗を恐れず」というハーン氏の開発者としての志しと、守備に回ったコミュニティーとの温度差が、結果的に今回の決別を招いたのだろう。

ビットコインの終結がブロックチェーンに及ぼす影響は?

この離脱騒動で最も気になる点はハーン氏が指摘している通り、「ビットコインの基盤崩壊は、ブロックチェーン自体の危機が待ち受けている可能性を意味する」ということだ。

次世代分散型アプリケーション(DApps)の構成プラットフォーム・プロジェクト「イーサリアム」の元COOで、現在ブロックチェーン・アプリ開発会社、Slockに勤務するスティーブン・テュアル氏も、ビットコインの将来性について「既に時代遅れのテクノロジーだ」と冷やか。

一方米ベンチャー・キャピタリストのフレッド・ウィルソン氏は「まだ失敗だと決まったわけではない」と反論。「危機が訪れるなら訪れるで対応するしか術はない」と雲行きの怪しさに好戦的な構えを見せている。

既に一人歩きを始めている感の強いブロックチェーン・テクノロジーだが、ハーン氏の警告通りビットコインが終結を迎えた先に、その存在はあるのだろうか。(ZUU online 編集部)