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投資の応用
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【或る銀行員の独白】

FP資格の不都合な真実。本当に頼れる人はどこにいる?

(写真=Thinkstock/Getty Images)
(写真=Thinkstock/Getty Images)

マネー雑誌やテレビの情報番組にFP(ファイナンシャルプランナー)が登場する機会が増えた。公平、中立な立場で顧客の相談に応じて、資産に関する情報を収集・分析すること。ライフプランやニーズに合わせた貯蓄や投資、保険、税務、不動産、相続・事業承継等についてのプランを立案し、アドバイスするのが彼らの役割だ。つまり、資産相談に関する専門家ということになる。

銀行の金融商品販売に携わる私自身、国家資格である1級FP技能士の資格を有している。だが、批判は承知のうえで、あえて言わせていただく。「FPなんて肩書きは大したことはない。彼らを全面的に信用してはいけない」

医師、弁護士とFPの決定的な違い

実は、FP資格のない人間がFP業務に携わることに、何ら制約はない。もし、あなたが金融や経済について何の知識がなくても、とびきりの経済音痴であっても「FPのような」仕事を始めることができるのだ。逆にFPの公的資格を取得したからと言って、特別な仕事ができるようになるということもない。

「業務独占資格」といわれるものがある。医師や弁護士、税理士の業務は、資格がないと行うことができない。資格がない者が業務を行った場合、法律により罰せられることになる。しかし、FPは業務独占資格ではないので、資格がなくても行うことができる。従って、何の資格も持っていない人が、「FPのような」ビジネスを開業したからといって何ら問題は無いのだ。

同じFPでも1級とそれ以下では全く違う

では、試験の難易度はいかほどのものか。FP3級の過去10回の平均合格率はおおむね67%だ。2級でおおむね22%。1級は10%程度である。FP3級の試験であれば全く知識もなく、実務経験もない大学生が数日勉強しただけで、余裕で合格できるレベルだと考えて頂いて良い。一般常識の範囲である。2級までは苦労せずに合格できるはずだ。毎回の試験に類似性があり、過去に出題された内容と類似の問題が出題されやすいため、過去問だけを覚えれば合格できる。本来は貯蓄、投資、保険、税務、不動産、相続・事業承継等さまざまな分野の専門的な知識を要するFPだが、実にお粗末と言わざるを得ない。

しかし、さすがに1級は難しい。過去問と類似の問題が出題されることはあるが、その率は圧倒的に少なく、難問奇問が出題される。とりわけ新しい法改正の出題に比重が置かれるため過去問を徹底的に覚える作戦は通用しない。試験の出題範囲も2級に比べて格段に広いため、相当勉強しなければ合格は難しい。

受験者の質においても1級とそれ以下では全く違う。3級、2級は会社が推奨するためやむなく受験せざるを得ないという受験生が多い。しかし、1級は自ら進んで資格を取得したいと考える受験生ばかりなので質の違いは歴然としている。

生兵法は大怪我のもと

だが、本当に大切なのは難易度の高い資格を持っていることではない。顧客にとって有益な情報を提供し、応用の利くアドバイスを実践するセンスがあるかだ。しかし、残念ながら私は「この人はFPとして素晴らしい」と感服できるような人に出会ったことはない。それには理由がある。彼らは最大多数のマーケットに向け語りかけているからだ。彼らの主張は間違ってはいない。だから面と向かって反論することはできない。それだけに厄介でもある。

「公的年金だけでは老後の生活が不安です。だから自分でも投資を始めましょう」。そんなFPのアドバイスには誰も反論することはできないだろう。「インフレリスクに備えて外貨や投資信託を持ちましょう」というアドバイスも盛んに行われている。彼らの主張を冷静に見ると、最終的には「投資をしましょう」という結論に結びつき、彼らが推奨する投資信託や保険のセールストークを聞かされるハメになる。

インフレリスクというけれども、本当にインフレが進むのだろうか。盛んに投資を勧めるが、投資がうまくいくとは限らない。投資が失敗するリスクを考慮しないで良いのだろうか。「投資なんて必要ありませんよ。うまくいく保証なんてありませんから」そんな話をしてくれるFPはどれだけいるだろう。

2013年5月、当時のバーナンキFRB(連邦準備制度理事会)議長が米国の金融政策の変更をほのめかす発言を行ったことから金利が一時的に上昇した。FPのなかには「これから金利が上昇するので、変動金利の住宅ローンはすぐに固定金利に変更すべきだ」と盛んに訴える者もいた。当時、銀行の窓口では変動金利から固定金利への変更を希望する人達がひっきりなしに訪れた。蓋を開けてみれば、こうした人達はムードに流され金利の高値掴みをしたことになる。

そのFPは本当に頼りになるのか?

はっきり言おう。銀行員である私から見て、物事の本質を良く分かっている「頼りになるFP」は本当に少ない。むしろ、この程度でよくFPを名乗れるなと恥ずかしくなるような人も実際にはたくさんいる。

税理士や弁護士についても同様のことがいえる。使えない弁護士、税理士が実はたくさんいるのだ。多くの人は税理士であれば相続税についても詳しく、有効な相続対策をアドバイスしてくれると考えているだろう。しかし、相続について的確で応用の効いたアドバイスをできる税理士は実は意外と少ない。

銀行員の私から見ると、彼らの主張は「机上の空論」が多い。確かに教科書的には間違っていないが、実用的でなかったり、非効率であったり、実態に合っていないなど問題点も多い。結局のところ、FPというのは「業務独占資格」ではなく、その気になれば誰もが「FPのような」ビジネスを始められることに問題があるのではないか。

情報が溢れ、誰もが簡単に、しかも安価に得ることができる。その反面、世の中はますます専門化、複雑化し、生半可な知識やノウハウが通用しなくなっている。結局のところ、どのFPに相談するかも含め、あなたが自分自身でリスクを負わねばならないのだ。(或る銀行員)

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