アジア・太平洋地域の経済発展や貧困減少を目指すアジア開発銀行(ADB)の年次総会が2日、カザフスタンの首都アスタナで、4日間の日程で開幕しました。ADBの中尾武彦総裁は開会に当たっての記者会見で、「新興国や貧困国への融資を拡大し開発を促進するために、ADBの融資能力を強化する。」と述べています。
具体的には、融資拡大の際の財務基盤の強化を目的として、日本などが拠出する貧困国支援のための「アジア開発基金」を、ADBの自己資本に組み込むことを表明しています。このことにより現在年100億ドル(約1兆円)の途上国への新規融資を2割以上増やすほか、貧困国向け融資も25億ドルから31億ドルに広げるとのことです。
ADBのウェブサイトによると、5日までの会期中に過去に起きたアジア通貨危機などを教訓に、金融危機をどう軽減するかのセミナー、CNBCによるアジア経済見通しについてのパネルディスカッション、アセアン諸国と日中韓での会談が行われる予定です。
今回のADB総会はセーフティーネットを含む金融の枠組みについての議論が中心になっています。アジア関連に関連する銘柄としてあげられるのは、
① アジアで開発、プラント業務を手掛ける企業:日揮等
② アジアに進出している小売業:イオン等
③ 都市銀行及びノンバンク:みずほ、三菱UFJ、三井住友、オリックス
④ 中国関連株:小松やピジョン等
ですが、今回の議題を考慮すると、都市銀行及びノンバンクが一番影響を受けるのではないかと考えられます。
5月2日の株式市場では日経平均、銀行が小幅下落の中、これらの企業の株価は比較的堅調でした。連休前、米国雇用統計発表前で様子見ムードが強い中、これらの銘柄は軒並み上昇しています。しかし、業種別での騰落率をみると、不動産やその他金融が上位に占めていたため、その要因による上昇が多いものと考えられます。
銘柄 騰落幅 騰落率
日経平均 ▲27.62 ▲0.19%
銀行 ▲ 7.18 ▲0.52%
みずほFG(8411) ± 0.00 ± 0.00
三菱UFJ(8306) △12.00 △2.17%
三井住友F(8316) △27.00 △0.65%
オリックス(8591) △27.00 △1.78%
結論として、ADB総会では制度面の議論が中心のため、総会中に個別企業がインフラ開発案件を受注といったニュースが出てこない限り、個別銘柄への影響は少ないものと考えられます。
参考:
時事通信: <http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2014050200798>
ADB:
http://www.adb.org/news/delegates-gather-astana-kazakhstan-adb-47th-annual-meeting?ref=annual-meeting/2014/news (英語)
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