2015年は中国、日本、トルコ、メキシコなど世界各国の中央銀行で米国債離れが加速。売却総額が2250億ドル(約2兆5060億円)という1978年以来過去最大の記録的な数字に達した。

450億ドル(約5兆1228億円)という2014年の国際機関による買い入れ総額から一転。米CNNの分析データによると、昨年12月、最大の米国債所有国だった中国が180億ドル(約2兆493億円)相当を売却したほか、第2の保有国であった日本は中国を上回る220億ドル(約2兆5047億円)相当を処分している。

メキシコ、トルコ、ベルギー、ノルウェー、スイス、ロシアなど、世界各国に米国債売却ブームの火種が飛び散り、国際経済に広がる悲壮感を象徴する流れとなった。

コモディティ価格の下落で中国やブラジルが貯蓄取り崩し

一部では、「人民元の切り下げ後に生じた価格暴落の回避策として、中国がドル売りに走ったことが引き金となった」と見られているが、多くのエコノミストの意見は異なる。それは、経済基盤のゆるみに外貨準備を積み上げる余裕がなくなった各国が、流動性と通貨が国際的な準備通貨である強みから最も広く購入されていた米国債を手放す手段にでたことに加え、国外への資本流出の防止に乗り出したことが急激な反動の主要因になっている--というものだ。

なかでも2003年から10年間にわたり、コモディティの大量消費で経済を肥やした中国やブラジルにとって、コモディティ価格の下落は経済成長の減速を意味し、成長が低迷すれば「貯蓄」を切り崩すしかないのは当然だ。

米PNCファイナンシャル・サービシーズ・グループのシニア・エコノミスト、ガス・ファウチャー氏は「5、6年前までは中国が米国を買い上げてしまうのではないかと懸念されていたが、今では中国が自国を売り飛ばす懸念の方が強い」とあからさまに中国経済の見通しの悪さを指摘する一方で、「米国債売りブームは今年から来年にかけて続くだろう」と、国際規模の経済問題が予想以上に根深いとの見方を示している。(ZUU online 編集部)