「しないこと」を決めざるを得なくする

完璧主義の殻を打ち破るには、その完璧主義思考がどこから来るかを知る必要があります。完璧主義には、3つのタイプがあります。

1つ目は「理想主義タイプ」。妥協や手抜きを嫌い、完全を目指しすぎるため、何をするにも時間がかかります。

2つ目は「白黒思考タイプ」。イチかゼロかで物事を判断し、失敗を過度に恐れるのが特徴。第一歩が踏み出せない、トライできない、というためらいが時間の空費を招きます。

3つ目は「否定が怖いタイプ」。このタイプは周囲の低評価を極度に恐れます。「これ、手抜きじゃない?」と相手に思われたくないがために、細部まで過剰にこだわってしまうのです。

改善法は、タイプによって異なります。しかし、いずれにも共通するのは、次の2つの習慣が突破口になる、ということです。

1つは「時間制限」。「毎日17:30に帰る!」といったルールを課し、意識的にスケジュールをタイトにするのです。すると当然、業務のオーバーフローが起こり、タスクのうちのどれかを「しない」と決めざるを得なくなります。

この習慣は、重要性の判別力を鍛える効果があります。とっさにどれかを「しない」と選ぶ、その繰り返しの中で、力の抜きどころを徐々に学習できます。

2つ目の習慣は「こまめに目的に立ち返ること」。なんのためにこの仕事を行なうのかを常に意識すると、目的と合致しないタスクを発見できます。たとえば細部の品質にこだわって、早い納品を望む顧客を待たせるのは「顧客満足」という目的を見失っている、とわかるでしょう。