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Written by 高橋広嗣 8記事

日本の入る余地は?

世界最大級ドローンメーカーDJI社の企業価値が1兆円を超えた理由(後編)

ドローン,IoT,DJI
(写真=PIXTA)

世界のドローンビジネスはどうなっているのだろう。日本は付け入るスキがあるのだろうか?

2016年4月20〜22日の3日間、幕張メッセで「第2回国際ドローン展」が開催された。民生用ではなく産業用に特化した展示会で日本企業が新型ドローンを数多く発表。これまでのドローン展示会とは違い、日本企業によるドローンの可能性が感じられた。後編のレポートでは、市場動向とその見通しについて考察したい。

(3) 世界のドローンビジネス市場は9兆円

世界のドローンビジネスの市場規模はどの位あるのだろうか。米国の軍事・航空関連の調査で有名なTEAL Groupの2014年1月の発表によれば、世界のドローン市場規模は2014年の64億ドル(約6,854億円)から今後10年間でほぼ倍増して115億ドル(約1.2兆円)に達する見込みだという。

サービス利用など含めた周辺市場まで含めるとその市場規模はさらに大きい。同じく米国のNPO団体、国際無人機協会(AUVSI)が2013年に発表したレポートでは、2025年には10万人以上の雇用を生み、ドローン関連の市場規模は830億ドル(約8.8兆円)に達するという。

ドローンの世界市場規模が1.2兆円、周辺まで含めて9兆円というのはとてつもなく大きい。その大きさを比較するために例を挙げてみよう。野村総研が発刊した『2030年のIoT』によれば、2014年の世界のIoTデバイス市場規模は約1.4兆円だ。また、映像分野で見てみると、米国映画協会(MPAA)によれば、世界の映画市場規模は約2.8兆円(2012年)。

ドローンの世界市場規模はIoTデバイスに匹敵する市場であり、周辺まで含めれば、映画市場をしのぐ規模となる。 ドローンビジネスはもはや単一市場ではなく、複数の市場で構成される産業と表現したほうがふさわしい。

一方、日本国内ではどの位の市場規模があるのだろう。インプレスが3月末に発表した内容によると、2015年度の国内のドローン関連の市場規模(推計ベース。周辺含む)は104億円。

ただ2016年度には前年比191%の199億円に拡大、さらに、2020年度には1,138億円に達するという。アメリカの市場規模と比べると桁が一つ、二つ近く違う状況にある。

日本国内では規制やルールの整備がされないとなかなか市場形成されてないので、前編で書いた様に規制やルールが整備されつつあり、何より政府がドローン市場創設を明確にした事で、多くの企業が参入し易くなった。そのため国内市場は、まさにこれから商用化ステージになるという段階にある。

どんな分野でドローンが利用されていくのだろうか。農薬散布や不動産の空撮、建設現場の測量ではすでに実用化が進んでいる。

ドローン市場のプレーヤー動向やファンドの投資額などをランキングしているDRONEII.comをみると、どの分野に注力している企業が市場で注目されているかがわかる。ドローンは大きく4つほどの方向性がありそうで、「ドローンによる空撮画像の活用」、「ドローンを配送に活用」、「ドローンを点検・保守サービスに活用」、「ドローン活用支援サービス」の4つ。今回はその中からドローン系スタートアップの中からいくつか紹介しよう。

ドローンによる空撮画像の活用

ceresimaging: 農地をドローンで空撮して画像解析。水や肥料の供給を提案する。
Intelescope Solutions: 森林の生存性や収穫量のデータ化サービス、

ドローンを配送に活用

QuiQui: 15分以内で医薬品を届ける配送サービス
Xaircraft: 配送用ドローンに注力した機体開発

ドローンを点検・保守サービスに活用

Sunlight Photonics: 太陽光による駆動をコンセプトとしたドローン開発
Redbird: ドローンで集めたデータを活用したコンサルティング

ドローン活用支援サービス

Dronebase: ドローンパイロットと企業(不動産、建設)をマッチング
Pix4D: ドローンで撮影したデータを3次元加工できる。

これ以外にもドローン系スタートアップは、この数年で文字通り筍のごとくに生まれてきている。今のドローンビジネス市場の中心はエンタープライズと呼ばれるB2B用途で、業界としては、建設、不動産、農業、警備などの実フィールドがある業界で利用が進んでいる。

パーソナルドローンは、DJI社の「Phantomシリーズ」の登場によって一気に市場形成されたが、サービスも含めた利用にはもう少し時間がかかる。というのもエンタープライズと違って、前編で書いた様にルールや規制があるからだ。そのため一家に一台、自由に空を飛ばして近所同士で物を届けて、、、という風景は、すぐには来ないだろう。

技術面では人工知能技術や高次の測位技術や群制御技術が応用されていき、今は想像できない分野でもドローンが使われる様になるはずだ。

周辺サービスで注目市場はエンターテイメント市場とインシュアランス(保険)市場。特にエンターテイメント市場の中でもドローンレースは大きな話題になった。

というのも今年3月にドバイ皇太子の呼びかけで賞金総額1億円以上、専用のコースで国際ドローンレース「ワールド・ドローン・グランプリ(World Drone Prix)」が開催されたからだ。日本を含む26カ国から150超のチームが参加した。

動画を見ると、SF映画のワンシーンの様な風景に驚くかもしれないが、ドローンレースは、ドローンの新たなビジネスの可能性の一つだ。

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世界最大級ドローンメーカーDJI社の企業価値が1兆円を超えた理由(後編)
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