速すぎ、歩きすぎはかえって健康を害することも!?
運動が苦手な人でも始めやすく、健康効果が高いとされるウォーキング。「たくさん歩くほど良い」と思っている人も多いが、実は、歩きすぎはかえって逆効果になることも!? 6月10日に発売された
『THE21』7月号
では、本当に健康に良い「正しいウォーキング」の実践法を、第一人者である青栁幸利氏に教えていただいた。
40代はジョギングからウォーキングへの切り替え期
健康維持の方法として、ウォーキングは定番となりつつあります。しかし、40代くらいだと「ウォーキングは高齢者向けで、自分たちはもっと運動量が多いジョギングなどをすべきだ」と考えている人も多いようです。
しかし、40代こそ、そろそろジョギングからウォーキングへの切り替えを考えたほうが良い時期です。年齢を重ねると血管の修復力が低下し、激しい運動をしている最中に動脈硬化を起こして突然死するケースが増えるからです。また、ハードなトレーニングを続けると、免疫力が低下して病気になりやすくなります。さらに見逃せないのが関節への負担です。年齢とともに自然と関節がすり減るうえに、激しい運動でさらに負荷をかけると、近い将来、膝や腰を痛めることになります。そうなれば、ウォーキングさえできなくなり、身体を動かす機会が減って、一気に体力が衰えるリスクがあります。
ウォーキングにしても、「歩けば歩くほど健康になれる」と信じている人がいますが、それは大間違い。よく「1日1万歩を目指しなさい」と言われますが、歩数だけにこだわっても意味はありません。私は15年間にわたり、5,000人を対象に1日24時間、365日の生活行動を追跡調査した、通称「中之条研究」を行ないました。その結果、健康を保つには「1日の歩数」と「中強度の運動量」の二つを組み合わせて考えることが必要だとわかったのです。
運動には「強度」があります。これは、簡単に言えば「骨や筋肉にどれくらいの刺激があるか」ということ。「中強度の運動」に当たるウォーキングとは、「なんとか会話ができる程度の速歩き」です。鼻歌を歌いながらのんびり歩けるくらいだと遅すぎるし、ゼイゼイ息が切れるほどだと速すぎるということです。
これを踏まえて、最も健康効果が高いウォーキングの方法は、どのようなものか。それは、「1日の歩数は8,000歩。そのうちの20分は中強度の歩行をする」というものです。この「8,000歩/20分」のバランスこそ、ウォーキングの黄金律なのです。