「結婚相手の年収は最低でもこれくらいはほしい」
「所得が高い人は◯◯な傾向がある」

普段、世の中の会話に耳を傾けていると、「年収」と「所得」を同じような意味でとらえている人が多いように感じます。

ファイナンシャル・プランナーで、税理士でもある筆者にしてみると、「年収」と「所得」は全くの別ものです。ただ、日常生活でこれらを意識することはほとんどないのも事実かと思います。

そこで、年に一回、自宅に届く「アレ」を使って、年収と所得の違いを確認することをおススメします。ポイントをしっかりおさえて、お得なお金の知識をこの機会に身につけましょう。

年収と所得の違いって?

そもそも年収と所得の違いは何でしょうか。

「年収」は、会社などからもらった給与と賞与から税金などが色々と引かれる前の額面金額のこと、「所得」は給与収入から給与所得控除額を引いた金額です。

「結婚相手に求める年収はいくら?」など、一般的にどれくらいの収入があるかを示すときは「年収」を使うことが多く、納税額などから割り出す「高所得者ランキング」などのときは「所得」という言葉を使うイメージですね。

自分の所得を正確に把握する方法

自分が自由に使えるお金、という観点から言うと、「年収」よりも「所得」の方が適しているかと思います。しかし、自分の「所得」を正確に把握している人は少ないのではないでしょうか?

本来ならば年収から給与所得控除額等を差し引いて計算するところですが、わざわざ計算するのはとても面倒です。そこで、6月に届いているはずの「住民税の通知書」を使えばカンタンに把握できるのでおススメです。

「住民税の通知書」ってなに?

「住民税の通知書」とは、正式名称は「特別徴収税額決定通知書」と呼ばれているものです。

なんだか難しそうな名前で、細かくて数字がたくさん書かれていますが、カンタンに言うと、あなたには年間どのくらい収入があって、どのくらい控除できたかが一覧表になっているものです。

まずは一緒に「住民税の通知書」の見方と住民税の仕組みをおさえましょう。

「住民税の通知書」の見方

「住民税の通知書」には、給与所得やその他の所得といった1年間の「所得」だけでなく、給与天引きされた社会保険料、保険料控除や扶養控除などの「所得控除」、これから支払う住民税の「税額」が記載されています。

では、住民税っていくらなのでしょうか?

一緒に計算の仕方を見ていきましょう。まず給与所得だけでなく、他にも副業や不動産賃貸などの所得があればそれも足していきます。この足した金額が「総所得金額」。総所得金額から所得控除を引いて、その残りの約10%が1年間に支払う住民税となります。

家計のやりくりを考えた時、使えるお金は手取り(これを「可処分所得」といいます)です。この手取りは、給与収入(年収)から社会保険料と税金を控除し、住民税も支払った後ということになります。

所得をもとに計算する「住民税」。退職したらどうなる?

ちなみにですが、今の会社を退職すると住民税がどうなるかご存知ですか?

住民税は6月から翌年5月までの1年間、給料から天引きされますので、退職したら天引きされていない住民税が残ってしまいます。当然この残りの分は支払わなければなりませんが、支払う方法は退職した月によって違います。

①6月~12月の退職:自分で支払うか、最後の給料か退職金から一度に天引きしてもらう

②1月~4月の退職:最後の給料か退職金から、一度に天引き

この他、転職先でそのまま天引きで支払う方法もありますが、転職先から市区町村に届出が必要です。

知識を味方につけて、お得をゲット

「税金は難しいからよくわからない」と耳にしますが、確かに完璧に覚えるのは大変です。

まずは、基本の仕組みだけを理解しましょう。こうした知識を身につけることで、ムリな節約よりも所得控除を活用して節税するなど、ずっとお得になることがあります。まずはコスト意識を持つこと。是非、活用してみてください。