地震保険が必要な人とは?

では、どんな人に地震保険が必要なのでしょうか? まず「住宅ローンがかなり残っている人」は加入すべきでしょう。地震で住宅を失っても住宅ローンは残っており、払い続ける必要があるからです。新しい家を買おうとすると二重ローンになってしまう点にも注意が必要です。現実問題として、東日本大震災では自宅を再建できずにローンだけが残って自己破産を余儀なくされた被災者が少なくありませんでした。

「預貯金が少ない人」「災害によって収入が長期に渡って途絶える人」も生活を立て直すための保険ということで必要かも知れません。

家財の地震保険は使い勝手が良い

そうは言っても地震保険が高いと感じて迷う人もいるでしょう。そんな人は、まずは家財保険に地震保険をつけてはいかがでしょうか?

地震保険は、単独では入れません。あくまで火災保険の特約なのです。

地震保険は、建物か家財のどちらか、または両方につけることができます。家財保険は、食器、衣類、寝具、電化製品などの家財に対して被害があった場合に補償します。

家財の地震保険は1000万円が限度額になっています。そもそも、食器や家電製品の中には転倒すると壊れるものが少なくありません。マンションなどでは、建物の被害よりも家財の被害の方が大きい場合もあります。

高層マンショで、家財がメチャクチャになったという話は良く耳にします。賃貸の場合は、家財の地震保険だけになりますが、家財の半分が壊れれば、半損になります。建物の半損よりも、家財の半損の方が認定されやすいのを覚えておきましょう。

地震保険を考えている人は年内までに

注意しなければならないのは、2017年に地震保険が値上がりすることです。それだけでなく、被害認定の仕方も大きく変わります。改定の内容について説明しましょう。

地震保険は、都道府県および建物の構造によって保険料が違います。今回の改定によって保険料が引き下げられた地域もありましたが、多くの場合引き上げになりました。

引き上げ率が大きかったのが、徳島、高知、茨城、埼玉で、約14%上がりました。引き下げ率が大きかったのは、愛知、三重、和歌山で、約15%下がりました。

なお、今回保険料が上がった4県は、さらに段階的に保険料の引き上げが予定されていて最大50%の値上げになるそうです。また、いままで全損・半損・一部損の3区分だったのが、全損・大半損・小半損・一部損の4区分になります。

保険金額は「全損」で地震保険金額の100%、「大半損」地震保険金額の60%、「小半損」地震保険金額の30%、「一部損」地震保険金額の5%に変更となります。

地震保険は長期で加入したほうがお得

地震保険は、最大5年間の長期で契約することができます。今後、保険料が上がっていくことを考えると地震の起こる確率が高い地域にお住まいの人は、できるだけ長期の保険に加入することをお勧めします。

ちなみに地震保険は、どの損害保険会社で入っても同じ値段です。損保会社は、国策に協力をしているので地震保険の販売に関しては、それほど利益を得ておりません。

一番重要なのは、日頃の備えです。避難場所などを家族で一度話し合ってみてはいかがでしょうか。

長尾義弘(ながお・よしひろ)
NEO企画代表。ファイナンシャル・プランナー、AFP。徳島県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務。1997年にNEO企画を設立。出版プロデューサーとして数々のベストセラーを生み出す。著書に『コワ~い保険の話』(宝島社)、『こんな保険には入るな!』(廣済堂出版)『怖い保険と年金の話』(青春出版社)『商品名で明かす今いちばん得する保険選び』『お金に困らなくなる黄金の法則』(河出書房新社)、『保険ぎらいは本当は正しい』(SBクリエイティブ)、『保険はこの5つから選びなさい』(河出書房新社発行)。監修には別冊宝島の年度版シリーズ『よい保険・悪い保険』など多数。