FRB
(写真=PIXTA)

経済ニュースで「FRB」「FED」「FOMC」といった略語を見聞きすることがあります。ともに米国の中央銀行に関係した略語ですが、日本の中央銀行と仕組みや位置付けが異なるため、「何となく分かっているが、違いを正確には説明できない」という人も多いでしょう。大まかには「FED」が中央銀行制度で、「FRB」がFEDを運営する機関(理事会)、「FOMC」がFRBが開催する会合を指します。

FRBとFED、FOMC いずれも米国の「中央銀行」に関係あり

FRBは米国の連邦準備制度理事会(Federal Reserve Board)の略です。この理事会は全米に12ある連邦準備銀行と共に、さまざまな米国の金融政策を決定します。

FEDは連邦準備制度(Federal Reserve System)を指します。頭文字をとってFRSと呼ぶこともありますが、「Federal」の頭3文字をとって、“FED”や“The Fed”と呼ばれるのが一般的です。

連邦準備制度は、前述の連邦準備制度理事会(FRB)、連邦公開市場委員会(FOMC)をすべてひっくるめた米国の中央銀行制度の総称です。

FOMCという略語がまた出てきましたが、これはFRB(連邦準備制度理事会)が定期的に開く会合のことです。FRBの理事と連邦準備銀行の総裁5人が出席します。年8回開かれ、金利の誘導目標などが話し合われます。

日本や英国の中央銀行は、それぞれ日本銀行やイングランド銀行単体ですが、米国では12の連邦準備銀行の集合体となっています。米国ではそれぞれの州が非常に強い独自性を持っており、一つの州に中央銀行を置くとその州の力が強くなってしまうためです。

12の連邦準備銀行は、ボストン(マサチューセッツ州)、ニューヨーク(ニューヨーク州)、フィラデルフィア(ペンシルベニア州)、クリーブランド(オハイオ州)、リッチモンド(バージニア州)、アトランタ(ジョージア州)、シカゴ(イリノイ州)、セントルイス(ミズーリ州)、ミネアポリス(ミネソタ州)、カンザスシティ(ミズーリ州)、ダラス(テキサス州)、サンフランシスコ(カリフォルニア州)となっています。

米ドルはこの連邦準備銀行が発行しており、どの連銀が発行した紙幣かは、印刷されたアルファベット記号(AからL)を見ると分かる仕組みです。

運営しているのはどんな人?

連邦準備制度理事会(FRB)は7人の理事によって構成され、議長は大統領が指名します。2016年5月時点で、FRBの議長はジャネット・イエレン氏(第15代)です。過去には、ベン・バーナンキ氏(第14代)、アラン・グリーンスパン氏(第13代)などが務めました。

イエレン氏は、カリフォルニア大学バークレー校のビジネススクールで教鞭をとったほか、サンフランシスコ準備銀行の総裁を務めた過去を持ちます。2008年以降の経済危機の際には副議長として大規模な量的緩和政策を実行、経済を回復させたとして評価されています。

現在の副議長はスタンレー・フィッシャー氏。イスラエル中央銀行の元総裁で、マサチューセッツ工科大学(MIT)の教授時代にはバーナンキ前FRB議長やサマーズ元財務長官、加えてドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁などをも指導したそうです。