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(写真=PIXTA)

金融にITを駆使して新たなサービスを生み出すFinTech(フィンテック)が今注目を集めています。決済サービスや仮想通貨などの分野が代表的ですが、その中に「ロボアド」という分野があります。これは人間ではなく「AI(人工知能)」が投資先を判断してくれるサービスです。

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(写真=PIXTA)

進化を続けるロボアド

ロボアドとは「ロボット・アドバイザー」の略で、人間のファンドマネージャーなどが行う運用戦略の策定を、金融アルゴリズムの活用により顧客分類ごとに決められたポートフォリオのパターンに沿って、資産運用を行うサービスです。

利用者はWebサイトでリスク許容度、投資目標、投資期間などの質問に回答すると、AIがその投資家に適したポートフォリオを作成してくれます。納得してサービスに申し込めば、ロボットは複数の投資商品に投資します。例は少ないですが、海外には資産配分の見直しも定期的に自動で行ってくれるロボアドもあります。

ロボアドで先行しているのは米国です。カリフォルニアに拠点を置く「ウェルスフロント」は運用額が20億ドルを突破しました。そのライバルともいえるのが、投資信託大手フィデリティと提携している「ベターメント」です。そして元PayPalのCEOが立ち上げ、100万人以上の顧客を持つ「パーソナルキャピタル」は電話やチャットなどでアドバイスを受けられますが、口座に10万ドル以上預け入れておく必要があります。

こうした新たに設立されたFinTech企業にかぎらず、投信運用会社バンガード・グループ、大手証券チャールズ・シュワブなども参入、ロボアドによるサービスが本格的に立ち上がりつつあります。

ロボアドの手数料は会社や投資金額などによって異なりますが、米大手の「ウェルスフロント」では1万ドルまで手数料がかからず、それ以降は投資額の0.25%という比較的低い手数料でサービスが利用できます。最低預入額は500ドルと低めです。

日本では「お金のデザイン」が9つの質問に答えるだけで世界中のETFから最適なポートフォリオを提案する「THEO(テオ)」というロボアドを提供中です。2016年5月現在、招待制で顧客を集めている「ウェルスナビ」は最低投資額100万円、手数料は預かり資産の1%(1年あたり、税別)に抑えられています。みずほ銀行が無料で提供している「スマートフォリオ」は、年齢や年収、投資目的など7つの質問からリスク許容度を判断、わずか2分ほどでモデルポートフォリオを提案してくれるという。このほかにも地銀でロボアドを取り入れたサービスを提供する動きが出始めています。

AIやロボアドの発達で、従来は富裕層向けだった資産運用サービスを多くの一般投資家が受けられるようになってきています。その拡大はめざましく、経営コンサルティング会社A.T.カーニーはロボアドによる資産運用額が2020年には最大2兆ドルに達すると見ています。