ドナルド・トランプ氏がついに、米共和党大統領候補の正式指名を受けた。先立つ7月14日、先端テクノロジーでアメリカ経済を牽引する、シリコンバレーのそうそうたる実業家たちが、“ある書簡”を提示した。「トランプ氏の政策提言にNo」がその内容である。

シリコンバレーが危惧する、トランプ氏5つの難点

今回の公開書簡は、シリコンバレーに本拠を置く世界有数のIT企業の有力幹部や投資家、ITベンチャーの関係者145人が発表したものだ。トランプ氏の政策に「No」を突きつけた書簡では、「トランプは未来のイノベーションを破壊する」と強い調子での非難が文面に踊った。

書簡に名を連ねた賛同者のうち52人は企業のCEO、83名は創業者もしくは共同創業者。まさにシリコンバレーの先端IT企業をリードする人々の総意として、反トランプを明確に宣言したのである。

公開書簡の内容は、大きく5つの要素で構成されており、次のように要約できる。

非寛容によるイノベーションの阻害

アメリカのイノベーションは世界をリードし、世界を繁栄に導いている。その根底にあるのは、さまざまなチャンスや創造性、知的活動を育む寛容性である。

同氏は、怒り、偏狭さ、新しいアイデアへの恐れにより、イノベーションを大きく阻害している。

人種、民族・女性への偏見が損なうクリエイティビティ

優れたアイデアは、社会のすべての階層から生み出され、シリコンバレーはそれらをクリエイティブな力に変えている。機会均等が保証された偏見のない自由な世界における個人の活躍や進歩的な移民政策こそが、クリエイティブを促進する。

同氏は民族や宗教、人種に対す偏見を煽り、女性を見下し、移民に対する敵意を表明している。

無知によるインターネット妨害

同氏は“国家の安全上の目的”でインターネットの一部を遮断しようとしている。これは彼の惨めな判断能力とテクノロジーに対する無知の故である。

メディアの自由を剥奪

同氏はメディアの自由を奪おうとしており、彼を批判するメデイアに罰を与えようとしている。

無策

同氏は突飛で偏見に満ちた政策を思いつきで言っているだけで、具体的政策は何もない。彼の無謀で無理解な姿勢は、アメリカ企業に大きな脅威を与える。市場を混乱させ、輸出を減らし、この国の雇用に減速をもたらす。