(写真=Thinkstock/Getty Images)
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「毎年110万円ずつ、子供に贈与しているから大丈夫」「もう何年も非課税範囲(贈与税の基礎控除の範囲内の贈与)で贈与を続けている」といった発言を耳にする。しかし、知らないと将来問題になるかもしれない事柄が存在する。知っておくことであなたが本来意図した贈与の実現に近づく。

贈与の落とし穴「定期金贈与」とは?

1年間にもらった財産の合計額が基礎控除額の範囲なら贈与税はかからない(2016年8月現在110万円)。この場合贈与税の申告は不要となっている。

しかし、あなたが毎年贈与したつもりでも、当局はそう判断しない事例がある。国税庁HP内にある下記の内容をご存知だろうか。

「10年間にわたって毎年100万円ずつ贈与を受けることが、贈与者との間で約束されている場合には、1年ごとに贈与を受けると考えるのではなく、約束をした年に、定期金に関する権利(10年間にわたり毎年100万円ずつの給付を受ける権利)の贈与を受けたものとして贈与税がかかりますので申告が必要です」

つまり、1000万円非課税と思っていたものが、890万円が贈与税の対象となるわけだ。

110万円ずつ、10年にわたり贈与しているという場合を考えてみる。税務署から『1100万円を10年に分けて110万円ずつ定期金として贈与したのですね』と言われた場合にそうではないと立証できるだろうか。あらかじめ定めた定期金を複数年にわたって贈与することが約束された場合は「定期金贈与」と考えられてしまう。この危険を排除すべきだ。

コツ(1)申告することで証拠を残す

非課税範囲内の贈与で、その年の贈与申告手続きをしていない場合は要注意であることは理解していただけたと思う。賢い富裕層はあえて贈与税を支払い申告書という証拠を残す方法を採っている。例えば120万円を贈与し、贈与税を実際に納めることで、贈与の事実と申告書を残すわけだ。

コツ(2)定期金贈与疑惑を回避する贈与額の工夫

毎年申告していればそれで良いのか。毎年120万円を贈与、申告していても、『1200万円を10年に分けて贈与したのですね』と言われるリスクは残る。

賢い富裕層の贈与対策は「金額は毎年バラバラ、ラウンド数字を避ける」だ。例えば、贈与金額を「112万円、131万円、114万円、119万円、122万円」といった形で毎年異なる金額にする。しかし、合計額でちょうど1000万円になっている場合などは、疑惑を残してしまう可能性がある。本事例の合計は598万円で合計金額もピッタリのラウンド数字で無いものだ。

コツ(3)金融機関の振込を利用する

銀行などの金融機関を利用することにはメリットが大きい。「誰から振り込まれたか」「金額」「日付」がオフィシャルな形で残されるからだ。

金融機関を利用することで贈与の証拠を残そうとしたことは良い。しかし、こんな過ちを犯していないだろうか。(贈与した)「息子には内緒にしている」「通帳は私が持っている」。これは名義預金と判断される。名義にかかわらず、被相続人の財産と認められるものは相続税の課税対象となる。次の項目で対処法をご紹介しよう。

コツ(4)贈与契約書を作成する

贈与は「当事者の一方が無償で自己の財産を相手方に与える意思を表示し、相手方がこれを受諾することによって成立する契約」(三省堂大辞林)とある。

受け取った側である受贈者が認識していないと贈与は否認される可能性があるわけだ。親は良かれと思って子ども名義の通帳に贈与をしたつもりでも、受贈者である子どもが「知らない。父がやったこと」と言ってしまえば贈与契約を否定される可能性がある。

また、贈与された金額を子どもが知らないと否認されるリスクは更に高まる。贈与を正しく理解させ、贈与契約書を作成して自署捺印をする。子どもの名義で親が書いたものは勿論不可だ。贈与の内容を正しく理解させた上で子どもに面前で記載させる。