不祥事,スポンサー,謝罪
(写真=PIXTA)

2016年は上半期だけでも謝罪映像を目にする機会が多くあった。不倫、賭博、そして不倫に次ぐ不倫などである。謝罪がスポンサー向けの説明で、そもそも謝っていないと叩かれた芸能人もいるが、実際スポンサーや関係先に多大な影響を及ぼすことは避けられない。

謝罪と社会的制裁と違約金と

国内でも2016年は年初から、スポンサーが悲鳴を上げるような案件があった。多くのCMや番組に出演していたベッキーと、人気バンド「ゲスの極み乙女。」のボーカル川谷絵音との不倫騒動だ。ベッキーのCMスポンサーとなっていたのは、ローソン <2651> やNTT都市開発 <8933> など10社に上る。CMの契約料は1本あたり2000万円程度と見られ、10本なら2億円になるわけだ。

またベッキーがレギュラーとして出演していた番組は、日本テレビ系「世界の果てまでイッテQ」やTBS系「中居正広の金曜日のスマたちへ」、フジテレビ系「にじいろジーン」、など民放4局で計9本あり、多くが休養や降板という結果になっている。所属事務所のサンミュージックが負った損害賠償額は、契約金の2倍が相場といわれる違約金を考えると、総額5億円を超えたものと想像される。

家族への影響も避けられず

ベッキーは5月13日に放映された、TBS系「中居正広の金曜日のスマイルたちへ」に出演、TV復帰を果たしたとはいうものの、本格的な活動開始とは程遠いのが現状だ。損害賠償を負担したサンミュージックは、当然ながらベッキーに対して求償権を持っているが、一部週刊誌には、ベッキーの母が7000万円の借入担保に実家を提供した、という記事が掲載もされている。不祥事が本人だけではなく、その家族をも否応なく巻き込んでしまう典型的な事例だ。

サンミュージックは、有名歌手や女優を幾人も育てている老舗芸能事務所なのだが、2009年に酒井法子が覚醒剤の所持・使用で有罪となった事件でも、やはり約5億円の損害賠償を支払っていたという。有名人を抱えるということは、経営に利益をもたらす一方で、大きなリスクを負うことでもあるわけだ。

復帰のハードルが比較的低い芸能界も厳しい対応

8月には俳優の高畑裕太容疑者が、強姦致傷容疑で逮捕されるという事件が起こっている。女優の高畑淳子の長男で、NHKの連続TV小説「まれ」やTBS日曜劇場「仰げば尊し」などにも出演していた。

本人が出ていたエイブルのCMが早速公式サイトから削除されたほか、日本テレビ系「24時間テレビ 愛は地球を救う」で放送された、「盲目のヨシノリ先生~光を失って心が見えた~」に同人が出演していたため、急遽撮り直しが行われる騒動になった。

この番組に関しては、高畑容疑者が掲載されていたポスターなどの広告物も、次々と撤去される憂き目にあっている。さらに同局は、9月からの新番組に高畑容疑者をレギュラー起用することを発表していたため、トータルとして発生する損害額は軽く1億円を超えるものと見られている。

ベッキーとは違い、家族も芸能人として多数の番組に出演していたため、母親への影響も小さくない。高畑淳子は花王 <4452> 、KINCHO、かどや製油 <2612> 、日本生命のCMに出演していた。高良健吾と共に洗剤「アタック」のCMを制作していた花王が、8月24日からの放映を中止するなど、各社は対応に追われているという。