4大大会の賞金は年々増加 10年前の3倍?

錦織選手自身の快挙やスポンサー料に加え、世界大会の賞金が年々増えていることも、大きな要因だ。

全米オープンは賞金総額・観客動員数ともに、4大大会の中でも最大の大会だ。2016年の優勝賞金は350万ドル(約3憶6000万円)、1回戦に出場するだけでも約4万3300ドル(約440万円)が獲得できる(1ドル103円換算)。だが、実はこの額、10年前の2006年大会の120万ドルから、約3倍に増えているのだ。

2016年の全米オープンは8月29日から9月11日にかけて行われているが、今大会で錦織選手が優勝した場合、優勝賞金に加え100万ドルのボーナスを得られるという。なぜかというと、全米オープンを含む北米の大会を対象に、勝利を重ねた選手にポイントが与えられる「USオープンシリーズ」において、錦織が1位を獲得したためだ。過去にはR.ナダル、N.ジョコビッチ、A.マリーといった名選手が、同シリーズの1位に名を連ねている。

生涯グランドスラム選手と、肩を並べる年収ランキング

賞金が上がっているのは、全米オープンだけではない。全英オープン(ウィンブルドン選手権)、全仏オープン、全豪オープンといった4大大会全てで、賞金が増加し続けている。それだけ選手の広告塔としての価値が、高まってきているということだ。日本人の平均年収が440万円と言われている中、全米オープンに出場するだけで、同額が貰えてしまうのだ。

1年の間に4大大会を制覇することを年間グランドスラム、選手の間に制覇することを生涯グランドスラムと言うが、前者を達成したのは男女合わせてシングルスで5人、ダブルスでは3組しか存在しない。一方、生涯グランドスラムは、近年達成者が増加しており、男子ではR.フェデラー、N.ジョコビッチ、R.ナダル、女子ではS.ウィリアムズ、M.シャラポワといった、年収ランキング上位の一流選手らがいる。彼らと肩を並べている、錦織選手自身もまた、4大大会での優勝を期待されるトッププレーヤーである。だが、当の錦織選手はこうした結果をよそに、「お金には無頓着」と語る。

賞金ではなく、ストイックにテニスに向き合い、ファンを魅了してやまない、そのガッツあるプレーを見るのが楽しみである。まずは、2年ぶりの8強入りを果たした、錦織選手の快進撃に期待だ。(ZUU online編集部)