中国での銀行業務向けITソリューションへの投資額が急激に増え、2014年から2015年にかけてで34億ドル(約35兆1796億円/23.5%増)に達したことが、最新の統計から判明した。
デジタル改革に後押しされるかたちで今後5年間にわたり年間平均21.9%伸び続け、2020年には92億ドル(約935億1800万円)を突破すると見込まれている。

中国の銀行の存続がかかった金融革命 ITソリューションへの投資は必須

調査を行った国際市場調査会社、IDCによると、銀行業務のITソリューションの中では、ビジネス向けのソリューション商品への需要が最も高く、39.9%を独占している。次いでマネージメント系(34.1%)、チャンネル系(23.8%)が求められている。

これまでのベーシックなソリューションから、顧客管理やリスク管理といった情報系業務を効率化できる、より高水準なソリューションへの需要が伸びていることから、中国の銀行ITソリューションが「地固め期」にはいったとIDCは見ている。

中国の全体的な銀行向けIT市場は昨年125億ドル(約1兆2715億円/前年比11.9%増)を記録。従来型の銀行がこぞって金融革命に本腰を入れ始め、市場拡大を促進した。

8月に発表された中国銀行業監督管理委員会による第2四半期のデータでは、銀行の利益成長は微妙に失速しているものの、それがゆえに「大規模な金融改革の実施が、今後の繁栄に不可欠だ」といわれている。

資金の大量流出や国内企業の倒産ラッシュへの懸念が報じられている中国だけに、銀行が直面しているリスクの大きさも並大抵のものではない。

しかしこうした金融改革に大規模な投資を行うと同時に、他国の大手銀行同様、大胆なコスト削減も実施されており、過去半年で中国4大銀行(中国銀行、中国建設銀行、中国工商銀行、中国農業銀行)が解雇した従業員数は2万人を軽く上回っているという。

IDC中国のシニア・リサーチ・マネージャー、ファング・ズン氏は、ITソリューション市場が今後も順調な伸びを見せると予想する一方、「中国の銀行が成長していくうえで、サービスの特性を強調することが重要となる」と結論づけている。

中国の銀行が激流で生き延びるにあたり、根本的な改革と徹底的な基盤固めが勝敗を決めそうだ。

FinTech online編集部

【編集部のオススメ FinTech online記事 】
金融業界のビジネスパーソンはFinTechの進行に危機感を持たなければならない
「フィンテックは必ずしもハイテクばかりではない」みずほFG 山田執行役常務・CDIO
freee「本質的で価値あるものを生み出し、社会に、業界にインパクトを与える仕事を」
仏ソシエテ・ジェネラルがアフリカでハッカソン
MUFGフィンテックアクセラレータ、グランプリ「ゼノデータ・ラボ」、準グランプリ「アルパカ」