香港初のデジタル決済ライセンスが、AliPayなど5社に発行された。「Stored Value Facilities (SVF) Licenses」と呼ばれる決済業務許可書は、昨年11月に導入された新規制に従って、香港金融管理局による審査に通過した企業のみが取得できる。

中国本土に続きeコマース市場が盛りあがり始めた香港で、中国本土と香港企業間の熾烈な次世代決済戦が繰り広げられそうだ。

香港でのSVFサービス企業は来年11月までに許可書取得が必要

SVFとはプリペイなどに代表される保存型デジタル決済を指す。ICカードやソフトウェア(PCや携帯電話など)にデジタル化して保存した通貨で決済取引を行う手法だ。これに対しオンラインバンキングやクレジットカードなどは、ネットワーク・アクセス型に分類される。

新規制導入にともない、来年11月末以降、香港で保存型デジタル決済業務を行う企業はSVFラインセンスの取得が義務つけられている。いち早く申請、取得に成功したのが中国の決済市場の半分以上を独占するAliPay(アリババ)と、2番手のWeChat(テンセント)。そのほかO!ePay(オクトパス)、Tap&Go(香港テレコム)、TNGWallet(TNG)の合計5社となる。

中国本土ではAliPayとWeChatが猛威をふるっているものの、香港の特殊な文化や立地条件からTNGが本命視されている。2013年に次世代デジタル決済の提供を開始したTNGは、タクシーアプリを含む新時代の流れをうまく取りいれたアプローチで、現在37万人から利用されている香港屈指のe決済ブランドだ。

また香港最大のテレコム会社、香港テレコムには、モバイルサービスを提供しているという強みから、モバイル決済市場に切りこみやすいという利点がある。一方オクトパスは香港の5大運送業者と電子決済の提携契約を結んでおり、香港で暮らす人々の生活に定着している。

多様性という点では、通常のオンライン決済、デジタルウォレット、P2P銀行間送金、SVカードと豊富な決済法を提供しているO!ePayとTap&Goに勝ち目があだろう。ライバルと一線を画す戦略として、AliPayはアリババのeモール「タオバオ」の利用者に、香港銀行経由のAliPayチャージが1カ月間手数料無料になるキャンペーンなどを開始。香港の顧客獲得に向け、前線ではすでに火花が散っているとようだ。( FinTech online編集部

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