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2014年6月10日、中国で過去約4か月にわたって凍結されていた企業の新規株式公開(IPO)が再開され、7社が本土市場での上場に向けIPO目論見書を公表しました。上海聯明机械(※上海連明機械)、無錫雪浪環境科技、山東龍大肉食品などが今月のIPOを計画しています。中国証券監督管理委員会(CSRC)は、10社のIPOを承認したことを明らかにしました。また、CSRCは、約600社がIPOの申請書を提出し、400社あまりが目論見書案をまとめたことを明らかにする一方で、年内は、約100件のIPOの承認にとどまる見通しであることを明らかにしています。

また、CSRCは、上海あるいは深センの中国本土市場で4か月ぶりとなるIPOを目指す10社の計画を最終承認したと6月9日に発表しております。上海聯明机械の上海市場へのIPOでは、最大2000万株を1株9.93元で売り出す予定で、調達額は最大で1億9860万元となります。募集期間は6月17~18日で、20日に結果が発表されます。無錫雪浪環境科技、山東龍大肉食品は深セン市場にIPOを計画しています。無錫雪浪環境科技は最大で2億9460万元、山東龍大肉食品は最大で5億3440万元の資金調達をする予定です。

CSRCは2012年後半からIPOを凍結してきました。IPOをめぐる不正行為の撲滅が表向きの理由です。実際、売り出し株の比率が8割を超すような問題のある上場申請は相次いでいると言われています。しかし、IPO銘柄に資金が流れるのを防ぎ、株式市場全体の株価を下支えするのが本当の理由であろうと思われます。

2014年1月、中国本土でのIPOが実に約1年2か月ぶりに実施され、上海市場で工業用バルブメーカーの蘇州紐威閥門が株式上場しました。初値で公開価格を2割上回りました。寄り付き直後に10%株価が上昇しサーキットブレーカーが発動し、一時売買停止となったほどでした。マーケットのIPOへの渇望感は強かったですので、今月の4か月ぶりのIPO再開でも株価が堅調に推移するのではないかと予想されます。CSRCが今年のIPO件数を約100社の承認に抑えるとしていることから、膨大なIPOによる投資家の株価下落懸念が和らぐものと思われます。

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