急激に増加する大衆富裕層
今、中国では大衆富裕層が急激に増加しています。昨年(2013年)末に約1200万人を数えたと思えば、今年(2014年)半ばには1300万人を突破する勢いです。(中国全体の資産総額に占める)大衆富裕層が持つ資産総額の割合は、昨年末時点で約6分の1に達しており、今後も増え続けると予測されています。
①大衆富裕層が持つ資産額は?
まず、大衆富裕層の定義から説明します。国際基準では資産総額が10万$~100万$(約80万元~800万元)の層を「大衆富裕層」としており、物価差を考慮しつつ日本円に換算する場合、約4000万円~4億円になります。ただし、バブル経済に浮かれる中国では「もう1つ上の層」も同じペースで増え続けているため、当文章では(物価換算後の)資産総額が4億円~40億円の層も「大衆富裕層」に含めます。
当文章で言う「資産」には現金以外にも不動産・株式・美術コレクション等を含めており、中国人の性格上、高利回りの投資商品や都市部のマンション等が人気です。大衆富裕層の95%以上に持ち家がありますが、必ずしも純粋な持ち家ではなく、約半数は住宅ローンが残っており、利率が低い住宅ローンを残しつつお得な投資商品に現金を注ぎ込んでいる点が読み取れます。また、中国では大衆富裕層に置ける女性の比率が高く、全体の約30%を占めている様です。
②大衆富裕層の平均年齢は?
中国の大衆富裕層に置ける最大の特色は、実年齢が若い点です。大衆富裕層の約60%が30~40代で占められており、調査結果の中には平均年齢が40歳を下回る例もあります。欧米諸国の似た様な層の平均年齢が約55歳である点を考慮すると(中国の場合)明らかに若い人間の割合が高い点が分かります。
また、中国の大衆富裕層に置ける学歴を調べた所、高卒50%・大卒40%・院卒10%と言う調査結果が存在しており、欧米の似た様な層と比べて教育年数が短い傾向にあります。これは決して「中国人の教養が劣っている」と言う意味ではなく「若い時期から働きつつ、学歴以上の能力を身に付けており、適切な時期にベンチャー企業を起こして成り上がった人間の割合が高い」と言う意味です。大卒・院卒の場合(社会人を全く経験しないで)卒業と同時に起業する人間も少なくありません。
これらの若者の他、中国では「富二代」と呼ばれる大衆富裕層二世の割合が増加しており、ある種の階級社会が生じつつあります。この様な若旦那の存在も大衆富裕層の平均年齢を引き下げる要因になっていると考えられます。