③大衆富裕層の主な職業や業種は?
大衆富裕層の年齢層が低い理由として、それらを構成する人間の職業や業種が大きく影響しています。(物価換算後の)資産総額が4000万円~4億円の層では金融関係や貿易関係のサラリーマンの姿も結構見られますが、4億円~40億円の層になると企業家と投資家が大半を占める様になります。これらの職業を業種別に別けると不動産業・サービス業・製造業の3つが非常に多く、サービス業や製造業の多くがIT関係と言われます。この様な点から平均年齢が若くなった様です。実際、40歳以下の大衆富裕層の約80%がIT関係で占められます。
一方、中高年では不動産業が多い傾向にあります。中国では不動産価格が毎年約10%上昇するため、不動産売買により収益を得た例が多く、北京では(1993年頃の日本の様な)バブル崩壊の危機がありますが(自信があるのか)未来を楽観的に考えている様です。
④中には変わった事業に取り組む人も
中国の大衆富裕層の多くは、今まで説明してきた様な事業を営んでいますが、中には、変わった事業に取り組む人も少なからず存在する様です。 変わった事業の1つとして清掃業が上げられます。当初、就職活動に失敗した大卒者が何人か集まって清掃ビジネスを立ち上げました所、予想外に地域の人々に置ける評判が高く、今では中堅企業に成長しています。また、これとは別に人工知能を持つ自動掃除機の開発に取り組んでいる若者も存在しており、間もなく実用化する予定です。この様な変わった事業は短期間で膨大な収益を得る例も珍しくなく、旧来の大衆富裕層とは違う顔ぶれが目立つ様になりました。
今後の中国経済はどうなるのか?
今後の中国経済に置ける最大のポイントは、都市部と農村部の格差です。中国に置ける大衆富裕層の分布は都市部に偏っており、北京省・広東省・上海省の3省で全体の約半数を占めていて、以下、浙江省・江蘇省・福建省・山東省と(日本で言う茨城県や栃木県の様な)大都市近くの省が続きます。ぶっちゃけ、数年前までの中国では本籍地による差別が行われており、都市戸籍と農村戸籍では健康保険すら内容が異なっていた有様です。ある程度、都市部の人間が農村部の実情を理解しなければ、そのうちウクライナの様な事態が起きるかもしれません。そうなると中国パッシングが始まるため、経済成長どころではなくなります。
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