リーマン

多くの識者は今年の経済の行く末を好意的に論じていましたが、アメリカでは一つの懸念が持ち上がっています。 今年、4月に入ってからのニューヨーク市場は上昇・高値圏にありますが、IT企業を中心としたナスダック市場だけが下落・停滞していることです。確定売りともIT企業のファイナンスがよくないとも言われています。

目線を西に移せば、話題になるのが中国のシャドーバンキングです。ここからの連鎖的な金融経済の崩壊も懸念されています。 アメリカのIT企業のファイナンスがなぜ危惧されているのか。中国のシャドーバンキングは問題なく処理できるのか。この2つが経済崩壊を導く可能性はあるのかを探ってみたいと思います。


◎世界経済活況の根幹

昨今はASEANやNEXT11と呼ばれる新興国の台頭も目を見張るものがありますが、やはり経済の中心となるのはGDPの1位と2位であるアメリカと中国でしょう。 特にシリコンバレーを中心としたIT企業に勢いのあるアメリカは活況です。世界の時価総額ランキングを見ればアップル、グーグル、マイクロソフトとアメリカのIT企業が常に5位以内に名を連ねています。 しかし、好調な時だからこそ、投資家は気をつけなければなりません。 投資家が市場から退場せざるをえなくなるパターンは、こういった経済好調のときにリスクを考えられなくなる方です。


◎リーマンショックの追憶にふける

崩落は突然やってきます。株式でも右肩上がりなのはゆっくりで、落ちるときは投売りが投売りを呼び容赦なく落ちます。 2012年に当時のバーナンキFRB議長がアメリカ財政の懸念を「財政の崖」と比喩したように、経済や株価の崩落を止めるのは困難を極めます。 そのため、投資するときには誰もがリスクを学びリスクヘッジを考えます。ところが、すべてが好調に見えると欲が出て、利益ばかりを考えはじめリスクが取れなくなります。 崩壊といえばバブルが頭に浮かびます。その中でも、日本の1990年のバブル崩壊、2000年のITバブル崩壊、2007年のリーマンショックばかりが目につきますが、細かなバブル崩壊はいつもどこかの国で当たり前のように起きています。

その根源は実体経済を伴わない過剰な期待と失望です。 リーマンショックから7年が経ち、最近、話題となってもはるか昔の話のように論じられます。 追憶にふけるのもいいでしょう、懐かしむのもいいでしょう。しかし、大事なのはしっかりと教訓として常に心がけておくことです。