yespay
YES PAY(画像=Webサイトより)

FinTechの進化によりますます過熱する決済市場から、音波やバーチャル・アシスタント機能を利用したユニークなモバイルアプリ・サービスが続々と登場している。

インドの大手YES銀行は地元スタートアップ、トーンタグと提携し、自社のモバイルウォレット「YesPay」に音波型のコンタクトレス決済を追加。中国からはオーバーシー・チャイニーズ銀行(OCBC)が「Pay Anyone P2P」とAppleの「Siri」を組み合わせ、簡単決済を可能にした。

便利さだけではなく安全性も追求したYES銀行

トーンタグのソフトウェア「SDK」は、デバイスに搭載されたスピーカーやマイク端子と小売店の決済端末間の音波データ転送を可能にする優れもの。消費者側と小売店側の相互動作ポイントに連結しておくだけで、あらゆるデバイスや機種に対応しているという点も普及の促進に役立つ。

音波技術で気になるノイズにはフィルター機能で対応。3層のエンクリプションやホワイトボックス暗号方式(暗号を分解せず完全に保護したまま転送するシステム)でデータを安全に転送する。そこに多要素認証も採用してトリプル方式でプライバシー保護を強化するなど、便利なだけではなく安全性でも突出した決済技術だ。

YES銀行にとってスタートアップとの提携は今年二度目。同じくインドのスタートアップ、ウルトラキャッシュ・テクノロジーとも、超音波決済技術の共同開発・研究に着手している。

シニア・プレジデント兼デジタル・バンキング部門の責任者、リテッシュ・パイ氏は、消費者の生活を快適で安全なものへと向上させるサービスの重要性とともに、「今後も積極的に斬新な発想を取りいれていく」と熱意を見せている。

一方OCBCは、Appleのバーチャル秘書「Siri」を決済に取りいれるというアジア銀行初の試みに挑戦。「iMessage」を通して、送金先や金額などを声にだして指定するだけで取引が完了する。

両銀行ともにIoT(モノのインターネット)を決済に融合させるという概念に共感を示しており、今後IoTが広範囲にわたる分野で主流となってくと見ている。

欧州VISAなども「IoT M2M(機械同士の通信)Payments」の概念実証を進めているなど、これからも次世代決済市場で想像もつかない革命が生まれそうだ。( FinTech online編集部

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