米通貨監督庁(OCC)は12月2日、オンライン融資、モバイル決済などのサービスを提供しているFinTech企業に、銀行設立許可書を発行する意向を明らかにした。
現時点では提案段階であるが、米国初のFinTechライセンスが実現すれば、スタートアップと従来型金融機関の競争を加速させるだけではなく、Appleなどの大手テクノロジー企業の金融事業促進効果も期待できる。
金融市場参入を狙う大手テクノロジー企業にはチャンス
FinTechの普及にともない、新たな革命の促進と従来の規制遵守のギャップに頭を悩ませていた規制当局。FinTech専用の規制を設けることで、これまで不透明だった基準を明確化し、効率的なFinTech環境を創造するという発想だ。
OCC認証後もすべての銀行業務が許可されるわけではなく、例えば連邦預金保険公社の許可なしで政府保証債務などを取り扱うことは禁じられたままだ。しかし基準の明確化がスタートアップは勿論、大企業の市場参入を促進することは確実だ。
中でも大手テクノロジー会社が、本格的な戦略を打ちだすと予想されている。すでに多くの大手テクノロジー会社がなんらかの手段で金融産業と関わり合っており、参入の機会をうかがっている気配が濃い。
またこれまで既存銀行と提供するほかに銀行業務を行う手段がなかったFinTech企業が、単独運営を行えるようになるという利点もある。
その一方で、消費者団体や金融機関から懸念の声も上がっている。新参者への金融市場開放は、「消費者のリスクを高めるばかりか、市場構造を歪めかねない」というのだ。特に小規模銀行にとっては、生存競争に関わる重大な動きだ。
OCCのデータによると、FinTech企業数は米・英だけでも4000社を上回っている。投資総額は過去5年で18億ドルから240億ドルに跳ねあがった。OCCによる新たな動きは、トランプ氏の勝利で行く末が懸念されている米FinTech市場にとっては、大きな活性剤となるだろう。( FinTech online編集部 )
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