田中角栄の即断即決も早起きから始まっていた

話題の人というと、アメリカの新大統領に選出されたドナルド・トランプと日本の元首相・田中角栄氏もはずせない。

トランプが大統領に相応しいかどうかはともかく、不動産経営者としての経歴は輝かしいものだ。トランプにこれほどの成功をもたらした要因の一つが早朝の読書である。

見かけによらず酒も飲まず、煙草も吸わないトランプは早起きだ。たいてい朝5時頃に起きて、3時間くらいをかけて地方、国内、国際、業種を問わずあらゆる種類の新聞や雑誌、本などを丹念に読むことを長年の習慣にしている。

性格は外交的だが、だからこそ1日の出来事をゆっくり振り返り、これからやるべきことを整理する内省の時間が欠かせない。「目隠しをしてビジネスはできない。視野を広める努力を続けなければならない」と考えるトランプにとって早朝の時間ほど貴重なものはない。

かつて「今太閤」として圧倒的な人気を誇り、今また大きな注目を集めている元首相の田中角栄氏も早起きで知られていた。

たいてい朝5時に起きて、わかめの味噌汁、煮物、漬物の朝食をとり、椅子に座って新聞にさっと目を通すのが1日の始まりだが、それから先はたしかに「コンピュータ付きブルドーザー」だった。

田中氏の自宅には新潟県などからたくさんの陳情団が訪れた。陳情に訪れた人の話を聞きながら、机の上に置いた紙に赤鉛筆で図面などを書いて、即座に「それはできる」とか、「それは難しいなあ」と答えた。

「それは3年先、これは5年先」と期日を示し、言葉を濁すことはなかったし、返事だけでやらなかったこともない。

ざっくばらんな性格と、即断即決こそが田中氏を首相の座へと押し上げることになった。