トランプ、シュルツ、田中角栄……あの成功者たちは、「朝一番」で何をしているのか?
古今東西見回してみると、朝型の成功者はたくさんいる。古くは歴史上の偉人から、近代の政治家、そして文化人、経営者。成功者に関する幅広い知識を持つ経済・経営ジャーナリストの桑原晃弥氏に、代表的な「朝型成功者」のエピソードについて教えていただいた。
村上春樹や村田沙耶香……早朝に執筆する作家
時間はみんなに平等に与えられているが、その使い方は人さまざまだ。そして限られた時間をどう活かすかで成果の度合いや生きがいはずいぶんと変わってくることになる。
「週90時間働け」と言ったスティーブ・ジョブズや、「起業家は週100時間働け」と言い切るイーロン・マスクあたりになると、朝も昼も夜もなければ、休みも関係ない。
ジョブズやマスクは滅茶苦茶働くことで世界を変えたが、朝の時間をとことん活用することで成果を上げた成功者もとても多い。
思いがけないボブ・ディランの受賞によって話題になったノーベル文学賞で毎年、受賞が期待される作家の村上春樹氏は典型的な朝型だ。
作家というとかつては夜型のイメージが強かったが、村上氏は朝早く起きて、4時間から5時間は小説を書き、それが終わると走りに出るという生活を続けている。
村上氏は33歳で専業作家の道を歩み始めているが、同時に走ることも始めている。きっかけは体重を落とすことだったというが、朝早く起きて小説を書き、そして走るという生活こそが村上氏のすぐれた作品を生む原動力となっている。
同じく朝型の執筆スタイルを続けているのが『コンビニ人間』で芥川賞を受賞した作家の村田沙耶香氏だ。
芥川賞作家がコンビニでのアルバイトを続けていることに驚いた人も多かったが、村田氏は朝2時に起きて小説を書き、週に何回か午前八8時から午後1時までコンビニでアルバイトをして、再び小説を書くという生活を続けていた。
村田氏は村上氏のように走ることはしないが、コンビニのアルバイトで人間を見つめ、朝と違って午後はパソコンではなく、あえてノートなどに自分の手で文章を書くという独特のやり方を続けている。