固定資産税,固定資産税 マンション
(写真=ESB Professional/Shutterstock.com)

マイホームとして、あるいは資産運用の一環として分譲マンションを購入するという方は、購入後にかかる費用についてもすべからく理解しておくべきだ。

今回はマンションを購入後維持していく上で必ずかかる費用のひとつ、固定資産税について解説する。これから購入を検討する方はもちろん、すでに分譲マンションをお持ちの方も今一度確認していただきたい。


固定資産税とは

固定資産税は、固定資産(土地・家屋・償却資産)に対して課せられる地方税だ。地方税であるため、課税主体(税金を課する者)は各市町村となっており、東京都23区内においては都がこれを課税している。

固定資産税の納税義務者は毎年1月1日時点における固定資産の所有者で、年の中途で売買や譲渡により所有者の変動があったとしてもこれは変わらない。仮に当年の1月2日以降にマンションを購入した場合、その年においては固定資産税は課されないということである。

固定資産税は賦課課税制度といって、所得税や贈与税などの申告納税制度とは異なり、課税主体より計算後の納付税額が記された納付通知書が送付される形となっている。

納付時期は年4期に分けられ、管理する自治体によって異なった期間を設定している。基本的に4月・6月・12月・2月としているケースが多いものの、必ずしも当てはまるわけではない(例えば東京都は納付時期を6月・9月・12月・2月に定めている)。

固定資産税の計算方法

固定資産税の税額は、次の算式より求められる。

固定資産税評価額(課税標準額) × 標準税率(1.4%) = 固定資産税

固定資産税評価額とは、総務大臣の定める固定資産評価基準に基づくもので、およそ地価公示価格(公示地価)の7割を目途として決定される。

標準税率はあくまでも基準として定められているものであり、制限等があるわけではない。実際の計算に際しては、各自治体に確認するのが賢明だ。

さて、固定資産税を計算するためにはまず固定資産税評価額を知らなければならない。この評価額は固定資産課税台帳に登録されているもので、所有者ならば申請ののちに閲覧することが認められている。その他にも、納付通知書に記載された価格を閲覧する、固定資産評価証明書を取得する、などといった方法によって確認することができる。

だがこれらの方法は、すでに所有している固定資産に対して認められるものであって、これから購入を検討している固定資産については各種価格等を参考に自身で計算しなければならない。

マンションの固定資産税の計算方法

マンションにかかる固定資産税を計算する上では、まず固定資産を土地と家屋とに分けて考える必要がある。

土地、特に路線(道路)に面した宅地等にかかる固定資産税は、固定資産税路線価を用いて計算する方法が有効だ。路線価とは、道路に面する宅地の1平方メートル当たりの価格のことで、1000円単位で表示されている。

なお一般に路線価と言った場合、これは相続税路線価を指すことが多く、固定資産税路線価と混同してはいけない。具体的には、固定資産税路線価が地価公示価格の7割を目途として決定されているのに対し、相続税路線価は地価公示価格の8割を目途としている。

分譲マンションの計算に注意

この路線価を、土地の状況(奥行、間口、形状)などから求められる画地補正率によって補正した後に、その土地の地積(面積)を乗じることで固定資産税評価額が求められる。このとき、分譲マンションにおける土地とは、マンション全体(共用土地)とマンション自室(専有部分)とに分けられるということにも注意してほしい。

仮に同一の面積の部屋が30戸あるマンションにおいて、全体にかかる固定資産税が1億円だったとする。このとき共用土地に対して1人当たりが支払う固定資産税額は、1億円 × 標準税率 ÷ 30戸となり、専有部分に対して課せられる固定資産税額と「合わせて」支払うこととなる。

次に家屋に対してかかる固定資産税額の計算だが、これも総務大臣の定める固定資産評価基準によって評価額が決定される。なお家屋の場合は、再建築価格方式を採用している。

再建築価格方式とは、評価の時点においてその家屋と同一のものをその場所に新たに建築する場合にかかる費用(再建築費、再建築費評点)を求め、そこから家屋の建築後経過年数に応じて減価(経年減点補正率)するといった方式である。具体的な計算式は、次の通りだ。

単位当たり再建築費評点 × 経年減点補正率 × 床面積 × 評点1点当たりの価格

しかしながらこの計算を正確に行うことは容易ではないため、購入検討段階においては、価格(可能であれば家屋部分のみとした場合)の7割を評価額とみなして計算するというのもひとつの手である。無論正確な金額を事前に調べたいのならば、専門家に頼るべきだ。

特例や軽減措置も合わせて検討

購入するマンションが自身の居住用(マイホーム)である場合や、そのマンションが新築である場合などは、各種要件を満たす固定資産に関して認められている特例等の適用も考慮にいれたい。こういった優遇措置の適用を受けることができれば、税負担ははるかに軽減されることだろう。