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(写真=PIXTA)

固定資産には、固定資産税を課税する目的で固定資産税評価額が定められており、本来この評価額は固定資産課税台帳で縦覧できるほか、各自治体より送付される納付通知書などによって確認することができる。だが場合によって、これを各種公的機関などへ証明しなければならないケースが存在するのだ。

固定資産評価証明書とは

まず初めに、固定資産税は地方税であるため、課税・管理する各自治体によって書類の名前や扱いなどが異なる可能性があることを留意していただきたい。以下は、主に東京都23区内における固定資産評価証明書の取り扱いをベースとして解説する。

固定資産評価証明書あるいは固定資産評価証明とは、固定資産税の課税対象とされる固定資産について、固定資産課税台帳に登録された事項を証明するものである。固定資産課税台帳に登録された事項とは、次のような情報だ。

・当該年度の賦課(課税)期日現在の固定資産の評価額

・課税標準額

・固定資産の所有者

・固定資産の所在

固定資産に関する証明書にはこのほか、固定資産関係証明書(固定資産公課証明書)や固定資産物件証明書などがある。固定資産評価証明書において重視されるのは固定資産評価額であり、固定資産税の課税額そのものに関する記載はない。

一方、固定資産関係証明書には固定資産評価証明書と同等の事項に関する記載があるほか、各種税の課税(相当)額についても表記されている。また固定資産物件証明書では、固定資産課税台帳に登録された事項のうち、不動産登記簿に登録されているものと同様の情報を証明している。このため、固定資産物件証明書に関しては未登記の固定資産を証明することはできない。

端的に、固定資産評価証明書は固定資産税評価額を証明するもの、固定資産関係証明書は固定資産税を含む課税額を証明するもの、固定資産物件証明書は固定資産の登記情報を証明するものとして利用されるのである。

いつ必要になるのか

固定資産評価証明書が必要になる状況、すなわち固定資産税評価額を証明しなければならない場合とは、次のようなケースだ。

・登録免許税の算定

・相続税、贈与税の申告

登録免許税は固定資産(不動産)の登記などについて課税される税金であり、相続税や贈与税とは固定資産の相続や贈与が発生した場合に課税される税金である。すなわち登録免許税、相続税、贈与税とは、いずれも固定資産の所有者に変更があった際などに課せられる税金だ。

これら税額を算定する上で、固定資産税評価額が参考あるいは課税標準額として機能する。つまり、固定資産税評価額とは固定資産税にのみ関わるものではなく、固定資産にまつわる様々な税金を課税する上でも参考とされる評価額なのである。そして、公的に固定資産税評価額を証明するものとして、固定資産評価証明書の提出を求められるのだ。

固定資産評価証明書の入手法

固定資産評価証明書は、東京都23区内においては各都税事務所、その他の市町村においては各市町村役場にて取得することができる。ただしこれを取得することができるのは、次の者のみである。

・固定資産税の納税義務者(共有者も含む)、相続人

・借地人・借家人等、賃借権その他の使用又は収益を目的とする権利(対価が支払われるものに限る)を有する者

・訴えを提起する者

・固定資産の所有者(賦課期日後に所有者となった者)

また申請の際には、次のような書類の提示が求められる。

・申請者本人

運転免許証、パスポート、住民基本台帳カード(顔写真付き)、個人番号カード(通知カードは不可)、そのほか顔写真付きの免許証等。顔写真付きのものがない場合はこれに代わる証明書(国民健康保険証等)。

申請者が納税義務者や相続人でない場合は、このほか申請者の立場によって更に次のような書類・証明書の提示が求められる。

・借地人、借家人等

賃貸契約書、転賃借契約書及び契約書等に基づいて賃借料等を払い込んだ領収書等

・固定資産の所有者(総務省令で定められている者)

登記簿謄本、裁判所からの審判書等

証明発行にかかる手数料はおおむね200~400円程度で、単に1件ごと手数料を加算する場合と、一定の件数までならば一律の料金とする場合などがある。なお、固定資産評価証明書の発行は郵送によって申請することも可能だ。

郵送によって申請する場合は、申請書、手数料(定額小為替)、返信用封筒、本人確認書類などを忘れず同封しよう。定額小為替は、ゆうちょ銀行や郵便局で購入することができる。返信用封筒へ貼付する切手などと合わせて用意すると良いだろう。

固定資産評価証明書の取得はスムーズに行いたい

固定資産評価証明書の提出が必要になる場合とは、およそ固定資産にまつわるその他の税金に関して申請を行うときである。そして、税金の申告・申請には基本的に期限が定められているものだ。いざというときに手間取らぬよう、ぜひ理解しておいていただきたい。(ZUU online 編集部)