Brexitの影響から投資低迷が懸念されていたUKだが、昨年のテクノロジー企業への投資額は欧州圏で最高額を維持。欧州一のFinTechハブの王座を死守していることが、英国政府認定国際事業促進団体ロンドン&パートナーズの調査から判明した。
ライバル視されているドイツへの昨年のM&A総額が28億454万ポンド(約3855億6560万円)、フランスへは149億4439万ポンド(約2兆537億円)であったのに対し、UKには711億8300万ポンド(約9兆7976億円)が流入するなど圧倒的な強さを証明した。
Brexit以降のUK M&A投資はEU6カ国総額の5倍
ロンドン&パートナーズのデータによると、昨年のUKテクノロジー企業へのプライベートエクイティおよびベンチャーキャピタル投資総額は67億6104万ポンド(約9305億9043万円)。そのうち3分の1以上がロンドン企業へ流れている。
昨年は大型M&Aが相次ぎ、中でも英電気通信大手、BTグループによる英携帯通信大手、EEの買収や、日本のSoftbankによる英半導体開発大手、ARMホールディングスの買収が話題を呼んだ。そのほかMicrosoft、Twitterも買収に乗りだし、M&A総額を一気に押しあげた。
英EU離脱決定以降、ベルリン、パリ、フランクフルトなどがロンドンに代わるハブ都市を目指して投資家の誘致に本腰をいれているが、データを見るかぎり期待されたほどの効果はあげていない印象を受ける。
プライベートエクイティとベンチャーキャピタル投資総額を比較してみると、ロンドンへの投資が23億4369万ポンド(約3220億7614万円)であるのに対し、第2、第3の人気テクハブ都市のパリは10億2859万ポンド(約1413億5158万円)、ベルリンは5億6200万ポンド(約772億3154万円)。
流れが変わると期待された英国民投票以降は、ロンドンが8億1854万ポンド(約1124億8595万円)、パリが2億8497万ポンド(約391億6133万円)、ベルリンが2億7614万ポンド(約379億4789万円)とその差は明白だ。
M&A投資自体はBrexitの影響を受けたのか、昨年下半期はパリやアムステルダムへの投資がロンドンを大きく上回った。しかし全土規模での投資は下半期もUKが270億4501万ポンド(約3兆7166億円)と、その他6カ国(独・仏・蘭・スペイン・アイルランド・スウェーデン)を合わせた総投資額、54億9300万ポンド(約7548億6274万円)に大差をつける結果となった。
UKが逆風に負けず投資家を魅了する理由として、国際金融セクターとしての不動の地位とテクノロジー分野への変わらぬ熱意に加え、Brexitによって大きく基盤が緩んだEU他国の脆弱性が目立つことなどが挙げられている。ロンドンが今後も欧州FinTechを先導していくことは間違いなさそうだ。( FinTech online編集部 )
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