国際コンサルティング企業、マッキンゼー・アンド・カンパニーが1月に発表した最新レポート「A Brave New World for Global Banking」から、日本の銀行が利益面で最もFinTechの脅威にさらされていることが判明した。

マッキンゼーは「世界経済の低迷、規制強化、FinTechの脅威が銀行の利益損失をまねく」との見解を示しており、特に先進国の銀行は最も大きな打撃のリスクにさらされることになりそうだ。

日本の銀行のマージンは今後4年間で25%前後減少

レポートによると先進国の銀行は、2020年までに利益の25%に値する900億ドル(約10 1655億円)を損失するリスクに直面しているという。現在10億ドルから450億ドル(約1129億8000万円5兆841億円)の利益を創出している米国および日本の銀行は最高8%、欧州の銀行は31%減少すると予測されている。

中でもデジタル改革で出遅れた感の強い日本の銀行は、先進国中最大の危機に瀕している。「消費者ファイナンス」「決済」「ウェルスマネージメント」のマージン(利鞘)および手数料が、今後4年間で25%前後縮小すると見こまれている

レポートではその要因についてふれられていないが、他国に比べてデジタル化に積極的な銀行が少ないこと、FinTechの共有環境がまだ不十分であることなどが考えられる。

次いで高リスクな英国の銀行では、同じく「決済」「ウェルスマネージメント」で20%の縮小が見られそうだ。こちらは逆にFinTechが活発化しすぎ、市場が激戦地区に変化しつつある現状が反映されているのではないだろうか。

需要の高さに後押しされ、新興国の銀行はおおむねデジタル改革にうまく対応していくと期待されている。しかし中国、ロシア、ブラジル、インドといった大規模な新興市場で、FinTech企業が銀行の脅威となりつつあることは、中国におけるAlipayの例を見るまでもない。

新興国の銀行の利益損失リスクは500億ドル(約5兆6490億円)。そのうち中国単体のリスクが470億ドル(約5兆3100億円)を占めているものの、320億ドル(約3兆6154億円)という高利益率を考慮にいれ、決定的な打撃をうける懸念は低いとマッキンゼーは比較的楽観視している。いずれにせよ世界中の銀行は、存続を賭けた正念場をむかえることになるだろう。( FinTech online編集部

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