ドイツ取引所は1月16日、ヘッセン州エシュボルンで開催された新年のレセプションで、AI(人工知能)やブロックチェーン、ビッグデータなどを取りいれたシステム改革プロジェクト「Exchange 4.0」の始動開始を発表した。
ロンドン証券取引所との合併完了を目前に控えたデジタル改革の一環として、大量のデータに対応可能なITベースの分析ツールやモバイルデバイスの開発、サービス提供を最終目的としている。
ケンゲターCEO「5年以内には取引システムが生まれ変わっている」
フランクフルト証券取引所の運営および関連金融サービスを提供するドイツ取引所は、昨年6月、ロンドン取引所との合併に合意。時価総額300億ドル(約3兆4416億円)という大型取引が成立した。それと並行して進められていたのが、大規模なデジタル改革計画だ。
ドイツ取引所がウェブサイトに掲載している情報によると、ドイツ取引所は2015年にベンチャー・ファンド部門、ベンチャー・ネットワークを設立。多岐にわたる分野のスタートアップが投資家から資金調達を行う支援を続けてきた。これまでの総投資取引総額は10億5000万ドル(約1204億2450万円)。最近では独オンライン融資企業、Kreditechが1000万ユーロ(約12億2466万円)、独オンライン配車サービス、Blacklaneが2000万(約24億4932万円)ユーロの資金調達に成功している。
昨年11月には、金融機関用決済サービス指令(PSD2)APIの開発で知られる独figoとの提携を発表。欧州初のバンキング・サービス・プラットフォームを立ちあげたfigoのバックアップを得て、本格的なデジタル革命に乗りだした。figoはベンチャー・ネットワークをとおし総額717万ドル(約8億2232万円)の資金を獲得した。
また2015年にシリコンバレーの為替トレーディング・プラットフォーム・スタートアップ、360Tも7億2500万ユーロ(約7億2500万円)で買収。FinTech市場への参入を着実に進めてきた。
「Exchange 4.0」の発表にあたりカーステン・ケンゲターCEOは、「時間を要するがブロックチェーンは本当の意味での飛躍的進歩を取引産業にもたらす」とコメント。「5年以内には取引システムの構造がまったく新しいものへと生まれ変わっている」との確信を表明した。
ケンゲターCEOの言葉どおり、「Exchange 4.0」は金融市場におけるフランクフルトの競争力を高めるプロジェクトとなりそうだ。Brexitで揺れるFinTechリード都市、ロンドンにとっては強力な刺激剤となるだろう。( FinTech online編集部 )
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