ドバイのエミレーツNBD銀行が2月2日、アラブ首長国連邦(UAE)初のミレニアル世代向けデジタル銀行「Liv.」のサービスを開始した。ミレニアル世代のスタッフがデザインした新感覚アプリで、新たな若い顧客層獲得に挑む。

エミレーツNBDは今後数年間で5億ディルハム(約153億4273万円)を投じ、組織規模のデジタル改革を実施する意向を示している。

バンキングからジオロケーション、小売店との提携まで

UAEのGulfニュース紙の報道からは、「Liv.」が顧客層をデジタルに精通したミレニアル世代に絞った戦略で、UAEにおける次世代バンキング革命を目論んでいる様子がうかがわれる。

人口945万人(世界銀行2014年データ)中、250万人がミレニアル世代と報告されているUAE。この世代による年間消費者支出は、推定200億から240億ディルハム(約6141億4494万円から7369億7392万円)に達している。

「Liv.」ではデジタル世代の需要に応えるために、通常のバンキングはすべてLiv.モバイルアプリをとおして行われる。サービス内容の充実度が非常に高く、毎月の支出内容が詳細にわたって表示されるほか、即時決済やFacebookなどを利用したSNS決済も可能。さらにはジオロケーション 、フィットネス・トラッカーといった機能が追加されており、銀行アプリという枠組みをはるかに超えたマルチ・アプリの誕生だ。

中近東一の経済都市として栄えるUAEは、近年テクノロジーを屈指した「スマート・シティー」への移行に全力を注いでいる。エミレーツNBDのアブドーラ・クアッセムCCOは「、Liv.の設立はドバイのデジタル計画と調和するもの」とし、既存の銀行とはまったく異なる事業展開を予定している。

ミレニアル世代のスタッフがアイデアから開発までを担当したというだけに、欧米、アジア地域の若者に人気のレストランやクーポンサイトとも提携するなど、便利なだけではなくエンターテイメント性も重視した至れり尽くせりのサービスが自慢だ。

Liv.がUAEの若者の生活を大きくかえる次世代銀行となる日も、そう遠くはないはずだ。( FinTech online編集部

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