米トムソン・ロイターは2月6日、KYCやリーガルエントリーデータ分野の強化に向け、米証券保管振替機関(DTCC)からKYC情報サービス会社、クラリエント・グローブおよび金融取引データ管理会社、AVOXの買収を発表した。

買収完了は第1四半期中を予定しており、より堅硬なKYCシステムの構築に役立つと期待されている。

低コストなリスク管理やスクリーニングを提供

ビジネス情報会社として世界的に知名度の高いロイターだが、近年はリスク・コンプライアンス・ソリューションの提供に力をいれている。包括的なKYC(銀行口座開設の際必要となる顧客確認)の向上を図ることで、金融規制と顧客の需要を同時に満たすのが目的だ。

今回の買収も戦略強化の一環である。クラリエントは2014年、世界最大の証券決済機関であるDTCCと国際大手銀行6社(バークレイズ、クレディスイス、ゴールドマン・サックス、JPモルガン・チェース、バンク・オブ・ニューヨーク・メロン、ステート・ストリート)との共同出資で設立された。KYCにともなう総合リファレンス・データの管理、標準化のためのソリューションを提供している。

一方AVOXは、金融取引の際のLEI(取引主体識別コード)サービスを行っているDTCCの子会社だ。世界各国で200万件にものぼる金融取引を管理している。アナリストによるデータ分析件数は週25万件をこえるという。

ロイターは2014年にもE2E型顧客確認プラットフォーム「Accelus Org ID」を立ちあげ、低コストなリスク管理やスクリーニングに大いに貢献してきた。クラリエントとAVOXを新たに傘下に置くことで、さらに進化したKYC管理サービスを市場に提供できる。

マット・シュタウファーCEOは両社のこれまでの実績を高く評価。すでに確立されたロイターのリスク・コンプライアンス・ソリューション部門にとって、強力なプラス作用をもたらすと期待している。( FinTech online編集部

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