開催国ブラジルの国民評判
ブラジルワールドカップ日本時間7月14日に決勝がおこなわれ、ドイツが延長の末、1対0でアルゼンチンを破り24年ぶり4度目の優勝を決めました。
日本でも大盛り上がりでしたが、開催国ブラジルの国民前評判はよくありませんでした。その理由は、スポーツ・イベント関連への巨額投資への批判が背景にあります。昨年6月のサッカー・コンフェデレーションカップ開催の際、物価高騰を理由に、全国規模の抗議デモが発生しましたが、今年も、ブラジルワールドカップへの抗議デモがサンパウロなどで散発的に発生しています。ルセフ大統領の支持率は現在低下しています。物価上昇、経済成長率鈍化、ブラジルワールドカップ開催反対運動などが理由です。また、ブラジルワールドカップの競技場、鉄道などで未完成の工事が残るなどインフラ整備の遅れも理由として挙げられます。
ロイターによると、ブラジルワールドカップがブラジルにもたらす経済効果は非常に小さいと見られています。世界中のエコノミスト116人が回答した調査では、ワールドカップがブラジル経済に対する押上げ効果は、+0.2%に留まりました。ブラジルの今年の経済成長率見通しは+1.7%と低い水準です。サッカーワールドカップが開催された2010年南アフリカ、2006年ドイツ、あるいは2012年のロンドン五輪の例からも、スポーツ・イベント開催国の経済効果は過大に見積もられがちですが、実際には経済効果は大きくはなく、おそらくブラジルもそうなるであろうと見られているのです。そうはいっても、長期的には、ビジネス、投資、観光の分野でブラジルの評価が改善とするとしているエコノミストは、評価が悪化するとしているエコノミストの数を上回っています。
前政権(ルーラ政権)
2000年頃のITバブル崩壊後から2008年のリーマン・ショックまでの間、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)の経済成長が続きました。BRICsの一角がブラジルです。前政権であるルーラ政権は、2003年1月に第1期政権が発足しました。労働者党政権の大統領として、ルーラ大統領は貧困の解決と経済成長の回復を掲げ、ブラジル東北部の経済成長を促進しました。2007年1月、第2期ルーラ政権が発足し、金融危機の影響もありましたが、ブラジル経済は底堅さを見せました。