ルセフ政権

2011年1月、2010年10月に実施された大統領選挙で選出された労働者党ルセフ氏が、ブラジル史上初めての女性大統領に就任しました。ルセフ大統領は、ルーラ前大統領の政策を継続しています。就任演説では、ブラジルを最も先進的で、格差の少ない起業家精神に溢れた中間層の国にすることを表明しています。優先課題として、福祉、教育、保健、治安等を挙げています。昨年6月のサッカー・コンフェデレーションカップ開催の際、物価高騰を理由に、全国規模の抗議デモが発生しました。国民は、教育、医療等の公共サービスの改善を求めました。さらに今年も、ブラジルワールドカップへの抗議デモがサンパウロなどで散発的に発生しました。ルセフ大統領の支持率は、物価上昇、経済成長率鈍化、ブラジルワールドカップ開催反対運動、ブラジルワールドカップの競技場、鉄道などで未完成の工事が残るなどインフラ整備の遅れが発生したことなどを理由に、低下しています。

ルーラ前政権とルセフ政権は同じ労働者党であり、政治路線は基本的には異なっていません。ルセフ大統領は、「ルーラ前大統領は私に遺産を残した。それはブラジル国民をケアするというもの。私はブラジル国民の母になる。」と言っています。しかし、ルセフ政権には批判が集中しています。なぜここまでルセフ政権に批判が集中するかについては、ブラジル経済の状況の違いだけだと考えられます。ルーラ政権下でブラジル経済は成長しました。しかし、最近は、中国経済減速から鉄鉱石などの資源需要が細り、価格が低下した結果、貿易収支が悪化しました。海外直接投資の伸びが止まりました。2011年から続く通貨レアル安によって、輸入品の物価が上昇し、インフレ懸念が強くなっています。


内需拡大続くブラジル経済と今後のブラジル相場

他方、ブラジル経済は生産労働人口の伸びと賃金の伸びのため、消費が伸びており、内需主導の経済成長が見られます。中間層が50%に達したと見られています。ラテンアメリカ最大のビールメーカー「アンベブ」は、ブラジル国内のビール販売量を伸ばしています。今年に入って、ブラジル政府がアルコールや清涼飲料への税率を引き上げると発表したため、一時アンベブ株が売られる場面がありました。また、中国経済減速によるブラジル鉄鉱石価格下落を受け、ブラジル総合資源開発会社ヴァーレの株価が押し下げられる場面もありました。内需拡大が続くブラジル経済では、アンベブを始めとした内需関連株が今後騰がっていくことが予想されます。


まとめ

ブラジル与党の労働者党は、2014年10月5日の次期大統領選候補として現職のルセフ大統領を正式に指名しました。現在ルセフ大統領の支持率は下がり、対立候補に対するリードが縮小しています。ルセフ大統領は、ブラジルの経済成長を、数値として国民へ示したいところでしょう。ブラジルワールドカップの成功は、必須となっています。

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