東京株式市場に「春」が到来しつつあります。日経平均株価は一時19,668円まで上昇し、1/4(水)に付けた終値ベースの昨年来高値19,594円更新まであと一歩に迫りました。

さて3月と言えば配当の季節です。多くの企業が3月末を決算期末とし、その時点の株主に配当を支払う予定となっています。権利付最終日は3/28(火)であり、それまでに対象となる銘柄を買い付け、株主としての権利を確定することで、配当を受け取ることが可能となります。

そこで今回の日本株投資戦略では投資金額20万円以下で買え、高配当利回りが期待できる10銘柄を抽出してみました。すなわち、今後業績が悪化して減配となったり、それにより株価が下落したりするリスクが小さい銘柄と考えられそうです。

20万円以下で買える「日本株投資戦略特選」の「高配当利回り」10銘柄

今回の日本株投資戦略では投資金額20万円以下で買うことができ、高配当利回りが期待できる10銘柄を抽出してみたいと思います。高配当利回りが期待できるのみならず、業績が悪化して減配となったり、それにより株価が下落したりするリスクが小さいとみられる銘柄を選び出してみました。スクリーニング条件は以下の通りです。

(1)時価総額100億円以上の上場銘柄
(2)3月決算銘柄で配当を実施する予定であること
(3)最低投資単位での購入金額が20万円以下
(4)アナリスト2人以上が業績予想を行っている銘柄
(5)予想EPSの市場コンセンサスが過去4週間で1%超上昇
(6)来期予想営業増益率(市場コンセンサス)が10%超

これらの全条件を満たす銘柄を、予想配当利回りが高い順に10銘柄並べたものが表1となります。

2月末現在、東証一部の予想配当利回りは平均で1.60%であり、掲載銘柄はそれを大きく上回る高配当利回りを期待できることになります。また、アナリストが企業調査の結果導き出した業績予想が今期予想分について過去4週間で引き上げられていますので、その分業績予想下方修正の可能性は小さいと考えられます。また、来期も10%超の営業増益が見込まれるなど、業績見通しも明るく、株価の値下がりリスクもその分低いと考えられます。

20万円以下で買える「日本株投資戦略特選」の「高利回り銘柄」はコレ

「日本株投資戦略特選」の「高配当利回り銘柄」の投資ポイントは?

図1:ネットワンシステムズ(7518)・日足
図1:ネットワンシステムズ(7518)・日足

表1でトップに来た銘柄はデクセリアルズ <4980> でした。配当は中間期末27.5円に続き、期末も27.5円支払うというのが会社計画です。年間配当をすべて受け取ると、2月末株価での配当利回りは4%を大きく超えることになります。なお、1/26(木)には業績予想の上方修正を発表するなど、業績は好調です。

ネットワンシステムズ <7518> はネットワーク構築に強みを持つ会社です。NTTグループ向け売り上げが大きく、シスコ関連製品の取扱比率が大きくなっています。セキュリティ需要の増加等を背景に受注(前年同月比)は第2四半期6%増から第3四半期は26%増と拡大が加速しています。配当は中間期末15円に続き、期末も15円を会社側は予定しています。株価は2月上旬の急騰後は一服状態ですが、25日移動平均線と再び接近しています。

図2:新光電気工業(6967)・日足
図2:新光電気工業(6967)・日足

新光電気工業 <6967> は半導体パッケージを生産している会社でインテル等を納入先としています。半導体需要の高まりを背景に関連銘柄が人気化した追い風を受け、1月下旬までは順調に株価が上昇しました。しかし、1/31(火)に発表された第3四半期決算(累計)では営業利益が72%の減益となりました。通期の営業利益も下方修正され減益になる見通しです。逆に言えば、悪材料出尽くしとの見方もできるかもしれません。

ところで、労働市場を見る限り米国は「完全雇用」状態にあるとみられ、ここから社会インフラ投資や減税によって景気を刺激すると、物価が上昇しやすくなると考えられます。中国経済の落ち着きもあり、商品相場全般も堅調な推移が見込まれます。

図3:三井物産(8031)・週足
図3:三井物産(8031)・週足

そうした流れを背景に商社株の見直しが進む可能性がありそうです。上記の高配当利回り銘柄では三井物産 <8031> と双日 <2768> が掲載されていますが、予想配当利回りの面では住友商事 <8053> も3%台が予想されています。また、双日 <2768> などはPBRが0.69倍と引き続き「解散価値割れ」の部分が大きく、割安感が強くなっています。

なお表1の銘柄のうち、プロトコーポレーション <4298> 、日本商業開発 <3252> は業績予想アナリストが2社とこの中では少なめになっていますので、実際の業績がアナリスト予想とかい離する可能性は残りますので注意が必要です。

時価総額が1兆円超で知名度もあり、冒頭のスクリーニング条件(1)~(6)を満たし、予想配当利回りが東証一部の平均を上回る企業としては以下の銘柄もありますので、ご参考頂ければと思います。

住友電気工業 <5802> ・・・大手電線メーカー。自動車の電装化で活躍余地は大きい。2月末時点で予想配当利回り(市場コンセンサス)は2.0%。

ヤフー <4689> ・・・検索大手。今期は減益見通しも、来期は増益に転じると市場は予想。2月末時点で予想配当利回り(市場コンセンサス)は1.7%。

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

鈴木英之
SBI証券 投資調査部

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