ファナックは、2014年度の連結業績予想について、強気な見方を上げております。表1のように2014年度ではこれまでの減収減益傾向が一転し、増収増益に転じており、更に増加率も2ケタ以上、純利益の1465億円は過去最高益の更新を予測しているなどかなり強気な予想になっています。当稿ではファナックをとりまく内外の事業環境を精査することで、最高益更新を予想している理由について迫っていきます。
表1 ファナックの業績推移
(単位:売上高は円、前年同期比は%)
年度
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売上高
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営業利益
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純利益
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金額
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前年同期比
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金額
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前年同期比
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金額
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前年同期比
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2012 年度
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498,395
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△7.4
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184,821
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△16.7
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120,484
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△13.2
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2013 年度
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450,976
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△9.5
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164,134
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△11.2
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110,930
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△7.9
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2014 年度*
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531,800
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17.9
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204,200
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24.4
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146,500
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32.1
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*2014年度は会社予想の値
出所:ファナック IR情報より
最高益をもたらすドライバー
ファナックの事業は、FA部門、ロボット部門、ロボマシン部門の3分野で構成されます。下表2の通り、FA部門の主要顧客は工作機械業界、ロボットは自動車、一般機械業界、ロボマシンはIT業界が主な顧客となり、これらの業界の設備投資動向に売上高が左右される構造となっています。ファナックのIR情報によると、期前半はIT産業でiPhone特需による需要増で増加する一方、期後半はIT産業の特需の一巡と新興国経済の鈍化が見込んでいます。また、売上の先行指標である受注の推移を見ると、2013年度第4四半期は前四半期比37%増の1,137億円であり、2014年度前期の売上増加に貢献することが予想されます。ファナックが最高益をもたらすかについては、前期のIT産業向けのiPhone特需に加え、工作機械業界の生産見通し、自動車業界の設備投資動向が鍵であるといえます。
表2 ファナックの製品分野
分野
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概要と主な顧客
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売上高(億円)
比率(%)
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FA
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工作機械の心臓部であるCNCシステムを製作する部門。工作機械業界が主な顧客
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2,226
49.4%
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ロボット
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工場で作業を行うロボットを製作する部門。自動車、一般機械製造産業が主な顧客
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1,469
32.6%
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ロボマシン
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ロボドリルと呼ばれる小型マシニングセンタを中心に作成する部門。iPhoneなどの加工に使われ、IT業界が主な顧客
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815
18.1%
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出所:ファナックIR情報より筆者作成