電気料金や保険料、航空会社の燃油サーチャージ、輸入小麦、オリーブオイルなど、2017年度に入り値上げが相次ぎ、消費者マインドを冷え込ませる。

そうした中、小売り大手のイオン <8267> 傘下の総合スーパー事業を担うイオンリテールは、プライベートブランドと国内メーカーが提供する食品や日用品を最大254品目値下げする方針を明らかにした。値上げの潮流に逆行するイオンの値下げ攻勢の狙いはどこにあるのか。

昨年秋に続く値下げ、既存店の売上下落に歯止めかからず

イオン,値下げ
(写真=Getty Images)

今回の値下げの主な内容は、プライベートブランドのトップバリュの「天然微炭酸の水(485ml)」が149円(税込)から105円(同)と30%ほど安くなるほか、キャノーラ油(1000g)は278円(同)から213円(同)など、15品目が4月17日より順次値下げとなる。また、国内メーカー商品は、ドレッシング、カレールー、牛乳、菓子パン、冷凍食品、洗剤やシャンプーなどを2.0%-18.9%の値引きに踏み切った。

イオンは物流の効率化や原料調達先を厳選したほか、メーカー各社から国内メーカー商品を一括で仕入れるなどの施策を通してコストを削減し、対象商品の値下げを実現していく。特に、牛乳やパン、冷凍食品、油など購入頻度が高い商品を対象にすることで、顧客への価格訴求力を向上していきたい考えだ。

新年度のスタートとともに、大規模な価格改定に乗り出したイオンだが、値下げは今回が初めてではなく、16年11月から順次、トップバリュ商品134品目を値下げに踏み切っている。

昨秋の値下げで販売のテコ入れを図ったが、2017年2月期の第4四半期にあたる16年12月から17年2月の期間、イオンリテールの既存店では食品の売上は前年同期比2.5%減少と、値下げの効果は限定的だった。

17年2月期決算では、食品の売上は通期で前期比1.3%落ち込んだ。同決算では、イオンリテールの純利益は前年比で54.4%減の73億円と大幅に減少する事態に陥った。

イオンはこれまで電子マネー「WAON」やイオンカードの発行で顧客の囲い込みを進めてきた。WAONの発行枚数は約6400万枚に上り、毎月10日に電子マネー200円の支払いで5ポイント獲得できるキャンペーンを展開している。さらに、16年6月からは、現金の支払いでもポイントが貯まるWAON POINTカードを発行。買い物のほか、ウォーキングや環境保護活動に参加することでもポイントを獲得できるサービスだ。WAON POINTカードの稼働人数は3000万人(16年8月末時点)に達し、電子マネーを利用しない顧客の取り込みを促進した。

商品の値下げ、新たなポイントカードの発行と、あの手この手で消費喚起を狙ったものの、売上高の落ち込みに歯止めはかからなかった。イオンは大規模な値下げに踏み切ったが、価格競争力の面では、ライバル店に引けをとるケースもある。ドラッグストアでは類似商品がさらに安い値段で提供されていたり、働く世代で買い物に時間をかけられない世帯が日用品の購入にネット通販を利用したり、イオンの顧客囲い込み戦略からすり抜けるように、消費者は安い小売店や利便性を求めて買い物先をシフトする。

ポイントアップでお買い得感を求めるより、販売価格そのものがより安い商品を消費者が望んでいる傾向が浮かび上がる。それほど、さまざまな商品・サービスの値上げを受けて消費者マインドが冷え込み、節約志向層がイオン離れに繋がっているともいえるだろう。

消費者の節約志向に苦しんでいるのはイオンだけではない。セブンイレブンも4月から国内メーカーの日用品を中心に61商品の値下げを決定した。小売業で勝ち組とされるコンビニといえども、購入頻度の高い日用品を、ドラッグストアなどの実勢価格に対抗して値下げを迫られた格好だ。この措置により、例えば「システマハブラシ」は、265円(税込)から30円(同)値下げとなる。セブンイレブンは、グループ会社のスケールメリットを活用した仕入れ体制を強化することで、日用品の販売でもドラッグストアやネット通販などとの競合を目指す。

小売業界の両雄の値下げの動きは、業界全体に波及し、節約志向に拍車がかかる可能性もある。大規模な値下げに踏み切ったイオンだが、さらなる追加の値下げも示唆しており、消費者の節約マインドとのにらみ合いの消耗戦が当面続いていきそうだ。(ZUU online 編集部)

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