政府は日銀審議委員に、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの片岡剛士氏と三菱東京UFJ銀行取締役常勤監査等委員の鈴木人司氏を充てる人事案を国会へ提出した。片岡氏は金融緩和を支持する「リフレ派」として知られており、日銀政策委員会の議論への影響が注目される。

日銀審議委員とは?

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(写真=PIXTA)

日銀審議委員は日銀政策委員会のメンバーであり、衆参両院の承認を得て、内閣が承認する。任期は5年で常勤となる。日銀政策委員会は日銀の最高意思決定機関であり、6人の審議委員と総裁、2人の副総裁の計9人で構成されている。金融政策決定会合ではメンバーの多数決によって金融政策が決められる。

今回の人事案は7月23日の任期満了をもって退任する木内登英氏、佐藤健裕氏の後任となり、今後衆参両院の同意を得た後、任命される予定である。その後9月20、21日の金融政策決定会合から参加する事となる。

「リフレ派」片岡氏の投入で物価上昇率2%の達成へ

日本の金融政策を左右する日銀審議委員の人選には毎回大きな注目が集まるが、今回も例外では無い。特に注目されるのが、「リフレ派」として知られている片岡氏である。片岡氏はエコノミストとして、物価上昇率2%の達成の為の金融緩和を強く主張しており、早期の追加緩和にも言及していた。

鈴木氏は銀行出身であり、金融実務に精通している事が評価されたと見られる。審議委員にはメガバンク出身者がいる事が通例であったが、昨年6月から不在となっており、その穴を埋める意味もある。金融政策についての主張は明らかではない。

退任する木内、佐藤両氏は金融緩和の悪影響を指摘する緩和慎重派であった。金融政策決定会合で金融緩和に異を唱えていた両氏が退任し、片岡氏と鈴木氏が就任すれば、日銀政策委員会内に緩和慎重派はいなくなり、ハト派の色がより強くなる。物価上昇率2%の達成という日銀と政府の悲願達成に向けた思惑もにじむ。足下でもたつく物価上昇率の上昇を金融緩和の強化でテコ入れする事も視野に入る。

「リフレ派」の片岡氏がマイナス金利を評価していない点も今後の議論を生む可能性がある。同氏のレポートでは金融緩和策は量を重視すると同時に、マイナス金利の導入には懐疑的な姿勢が示されている。昨年「量から金利」への転換を示した日銀であるが、同氏の就任によって、再び「量」を追っていく政策の議論が活性化する可能性がある。

物価上昇のペースは鈍く、目標の達成は想定より後ずれを繰り返している。日銀の見立てでは、2018年2月までとなる黒田総裁の任期中の達成は難しくなっている。任期中の達成は難しくとも達成の筋道を明確にしたいとの思いは強いだろう。今回の審議委員人事で金融緩和の障壁は減る事になる。今後の金融政策決定会合での議論を注目して見ていきたい。(ZUU online編集部)

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