株式投資の魅力の一つに「株主優待」がある。
すかいらーく <3197> は、そんな「優待好き」に人気の高い銘柄だ。

今年2月、すかいらーくは株主優待の拡充を発表した。今年6月期末の株主から従来の「3倍の食事券を贈呈」することを決めたのだ。「優待好き」には嬉しい限りであるが、肝心の株価は急上昇と急落を繰り返すなど落ち着かない展開となっている。

すかいらーくの株価に一体何が起きているのだろうか? 詳しく見てみよう。

優待を含めた「実質配当利回り」は6%

すかいらーく,株主優待
(写真=Thinkstock/Getty Images)

前述の通り、すかいらーくが「株主優待の拡充」を発表したのは今年2月9日のことだ。それまで、6月末と12月末の株主に対して、100株の保有で半期に1000円、年間2000円の食事券を贈呈していた。それを一気に3倍に拡充し、半期で3000円、年間6000円にしたのだ。

優待券はすかいらーくグループの各店舗、ガスト、バーミヤン、ジョナサン、夢庵、ステーキガスト、藍屋などで利用可能だ。たとえば1000株も保有していれば、家族3〜4人で毎月食事に行くことも可能だろう。すかいらーく愛好家にはかなり使い勝手のいい株主優待だ。

ちなみに、6月20日現在のすかいらーくの株価は1666円。100株購入するのに必要な金額は16万7000円程度である。配当が一株あたり40円なので年間で4000円付くのに加えて、年間6000円分の優待券ももらえる。優待を含む実質の配当は1万円、実質配当利回りは約6%になる計算だ。

ベインキャピタル社の売りで急落

すかいらーくの「株主優待3倍」の発表を市場は歓迎し、翌2月10日の株価は寄り付きで7%も値上がりした。その後も堅調な展開が続き、3月21日には年初来高値となる1785円を付けている。「株主優待3倍」の発表から約16%の上昇だった。

情勢に変化が生じたのは3月28日のことだ。同日、すかいらーくの株価は4%安と急落したのである。急落のきっかけになったのは、米系プライベート・エクイティ・ファンドのベインキャピタルによる売りである。

3月27日、すかいらーくの筆頭株主で約8588万株(発行済み株数の約44%)を所有するベインキャピタルが「約2143万株(同約11%)の株式を時価の約5%ディスカウントの1630円で海外機関投資家向けに売り出す」と発表したのだ。

上記を受けて、すかいらーく株は4月7日の安値1600円まで約10%下げることになる。なお、4月18日の開示で3月末のベインキャピタルの保有株の比率は約44%から「約28%」まで縮小したことも明らかにされている。

すかいらーくの経営改革をあと押し

その後、すかいらーくの株価は持ち直し、5月11日には1804円と年初来の高値を更新するのであるが、6月15日に再び投資家の動揺を誘う出来事が起きる。ベインキャピタルが再び「2550万株(同約13%)を約5%ディスカウントの1630円で海外機関投資家向けに売り出だす」と発表したのだ。この影響で翌16日の株価は一時3%安まで売られることとなる。

ベインキャピタルは、未公開株投資で利益を追求するファンドだ。未公開株に出資して経営を強化し、企業価値を高めたうえで、他の大株主に売ることで収益を上げるファンドである。これをプライベート・エクイティ・ファンドと呼ぶ。

すかいらーくはもともと上場していたが、経営悪化で2006年に創業家と野村証券系の投資ファンドがMBO(マネジメント・バイアウト)を実施、上場廃止となった経緯がある。MBO後は経営改革を推進し、2011年にはベインキャピタルが筆頭株主となり、2014年に再上場を果たしたのである。

ベインキャピタルは再上場後の、2015年6月にも売り出しを行っており、今年の2回と合わせると合計3度の売却を実施したことになる。ベインキャピタルのすかいらーく株売却は、プライベート・エクイティ・ファンドとしては、当たり前の投資行動といえる。ただ、これから株式投資を始めようと考えている人は、時としてこのような動きがある点は理解しておきたい。

上場廃止、再上場、そして新業態へチャレンジ

6月14日、すかいらーくは新業態であるハワイアンダイニング&カフェ「ラ・オハナ」の1号店を横浜市本牧にオープンすることを明らかにした。ハワイのリゾートホテルのレストランをテーマにしたもので6月17日に営業を開始している。

ハワイアンはトリドールホールディングス <3397> の「コナズ珈琲」、RYコーポレーションの「Merengue(メレンゲ)」、ジローレストランシステムの「ハワイアン・パンケーキ・ファクトリー」などが先行しているが、そうした中ですかいらーくがどこまで業績を伸ばせるか気になるところだ。

上場廃止から経営改革、再上場を経て新業態にチャレンジするすかいらーくの今後を見守っていきたい。

平田和生(ひらた かずお)
慶應義塾大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。国内外機関投資家、ヘッジファンドなどへ、日本株トップセールストレーダーとして、市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスをおこなう。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。