BBVA(ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行)がスタートアップDas-Nano と提携し、バイオメトリクス(生体認証)技術を専門とするテクノロジー会社を設立した。

様々な形態のバイオメトリクス技術を活かして、安全かつ利用しやすい顧客確認・認証システムの開発をめざす。

急成長中のバイオメトリクス市場に進出

新たな挑戦はBBVAの大規模なデジタル改革の一環だ。ナノテクノロジーやバイオメトリクス技術を提供するDas-Nano とは2015年から提携関係を結んでおり、Veridasの共同設立を機にさらなる技術の発展に期待を寄せている。

デジタル取引の急激な増加にともない、Veridasでは組織内部・外部で利用可能な有効的かつスピーディーな認証ソリューションの研究・ソフト開発に取り組む。Veridasを率いるのは、Das-Nanoの共同出資者でもあるエデュアルド・アバンザ氏だ。

2015年に108億ドル(約1兆2031億円)に達したバイオメトリクス市場は、今後5年で327億ドル(約 3兆6427億円)に成長すると予測されている(marketsandmarkets.com調べ)。 金融機関や政府だけではなく、犯罪鑑識といった領域での需要もますます拡大している。

BBVAは個人認証技術の研究が課題のコンソーシアムにも参加

2012年にスペインで設立されたDas-Nanoは、チームの4割が科学者を含むPhD(博士号)取得 者というテクノロジー集団だ。AI(人工知能)からテラヘルツ波( 電磁波の一種で、自然治癒力や免疫力に貢献するとされている)まで、幅広いテクノロジー領域の研究・開発を専門としている。

一方スペインを代表する大手銀行、BBVAはライバル金融機関がアナログな手法に依存していた2008年という早い段階に、欧州で初めて「オンラインPFM(複数の口座情報をまとめて表示させる個人財務管理システム)」を導入 するなど、常に革命の先端を走ってきた。

スタートアップの発掘・育成に関しても、イノベーション・ラボの開設や米決済スタートアップ、Simpleやフィンランドの金融ソリューション・スタートアップ、Holviの買収など積極的だ。

最近ではスペイン初のブロックチェーン・コンソーシアム「Lyra Network」 にも参加。サンタンデールやバンキアといった同国の大手金融機関が、このコンソーシアムに集結している。

個人認証技術の研究は「Lyra Network」 の主要課題でもあるため、今後Veridasを通して得た成果、あるいは「Lyra Network」を通して得た成果が、何らかの形で共有される可能性も考えられる。

また国際特許商標庁と共同で、知的財産権の保護にバイオメトリクス技術を活用する 研究も進めていると報じられている。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)

【編集部のオススメ FinTech online記事】
金融業界のビジネスパーソンはFinTechの進行に危機感を持たなければならない
最新の株価指数「FinTech指数」とは?
ロボアドサービスを公開したウェルスナビ「より使いやすい見た目や操作感を……」
CEATEC開催 MUFGが初出展、AIを活用したサービスを展示
「FinTech化が進む金融業界で活躍できる人材とは?」