興行通信社「CINEMAランキング通信」によれば、歴代興収ランキングベスト100において、2016年8月26日公開の「君の名は。」が堂々の歴代4位となり、その勢いを止どめる様子はありません(「2017年5月21日現在」)。

そのほか、2016年に大ヒットした「シン・ゴジラ」を含め2作品とも手掛けた東宝をはじめ、ブームを感じさせる映画業界が気になります。また、映画業界だけではなく、他の業界にも大ヒットの影響は広がっているようです。

「ハウルの動く城」の興行収入記録を12年ぶりに塗り替え

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(写真=PIXTA)

「君の名は。」の公開から5月21日までの累計興行収入は、実に約249億円に達しています。国内で製作されたアニメ映画の累計興行収入で宮崎駿監督のアニメ2004年公開の「ハウルの動く城」の190億円を超えたのは12年ぶりのことです。また、歴代邦画興収ランキングでも国内製作アニメでは1997年公開の「もののけ姫」や「ハウルの動く城」を抜き、2位となっています。今年4月からは北米でも上映がスタートしました。北米の評価が気になるところですが、ヒットすれば更なる収入も見込めるでしょう。

一方「シン・ゴジラ」も、2016年7月29日の公開から5月21日までの累計興行収入が約82億円に達しています。こちらもまだ公開は続いており、最終的にどこまで記録が伸びるのか気になるところです。

上記の邦画2作品以外にも、2016年はヒット映画が次々と登場し、映画業界から目が離せない年となりました。これから投資をはじめる方も、東宝、松竹、東映、東京テアトルといった映画関連企業に注目して見るのも良いかもしれません。

ヒットの影響とは

では、一般的に映画がヒットしたとき、どのような企業が影響を受けるのか考えたいと思います。まずすぐに思いつくのは映画を作る製作会社、実際に映画を上映する興行会社、その両者の間を取り持つ配給会社でしょう。これらは1つの企業ですべて行っている場合もありますし、別々の企業が行っている場合もあり、ケースによりさまざまです。

これらの企業の業績は、映画がヒットするかどうかに左右される部分があり、映画がヒットした時の影響は大きなものになるでしょう。

またヒット作となると、グッズやサウンドトラック・主題歌等のCD、DVD・Blu-rayの製造・流通業界に与える影響も大きくなります。さらには小説やコミックスといったメディアミックス展開が行われることもありますので、大ヒットした際のその影響は、多種多様な業界にわたると言えます。

たとえば、冒頭で紹介した「君の名は。」はその影響が映画だけにとどまらず、サウンドトラックやヒロイン役を演じた上白石萌音さんが、劇中で使用された楽曲をカバーしたものがヒットしました。他にも、映画の舞台となった場所を巡るブームを引き起こし、舞台となった町で「君の名は。」に関連したイベントが開催されるなど、地方都市の経済にまで影響を与えました。またそれだけでなく、「聖地巡礼」は2016年流行語大賞トップテンにも選ばれました。

もしもヒットを予見できるなら……

映画に限らず、小説やコミック、音楽やゲームの世界にも、大ヒットの例がいくつも見られます。最近の例では、一部で社会問題さえ引き起こした「ポケモンGO」の爆発的なヒットが、さまざまな関連企業に少なからず波及効果をもたらしました。

たとえば公開されたばかりの映画を観た結果、「これは大ヒットするはずだ」という確信を得たような場合に、その影響力を考えて、関連企業やより広い視野で多くの業界を見てみてはいかがでしょうか。(提供: お金のキャンパス

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