少し前まで訪日外国人観光客の増加が話題の中心だった旅行業界だが、足元では日本人の海外旅行の人気が復活している。JTBがまとめた夏休み(7月15日〜8月31日)の旅行動向予測では、海外旅行人数は前年同期比3.4%増の273万人と過去2番目の規模となる見通し。エイチ・アイ・エス <9603> やオンライン旅行事業のエボラブルアジア <6191> が関心を集めそうだ。

テロなどの情勢不安で低迷していた海外旅行の需要が、ここへきて回復しつつある。HISによれば、欧州方面を中心に今年のゴールデンウイーク以降復調の兆しを強めている。JNTO(日本政府観光局)の5月出国者数統計(推計値)は前年同月比6.6%増と4月(確定値)の1.2%減からプラスに転じた。

海外への出国者数は過去最高だった2012年をピークに右肩下がりの傾向が続いたものの、15年を底に再び拡大している。賃金上昇に加え、インターネットを利用して簡単に旅行予約ができるようになったことなどが押し上げ要因となっているようだ。

HIS、エボラブルAなど関心

海外旅行
(写真=PIXTA)

HISの今10月期の連結営業利益は、2〜4月が前年同期比3.7%減の37億円となり、減益幅は前四半期の45.7%から大きく縮小した。欧州向けの海外旅行需要が回復する中、オンライン予約の強化も業績改善につながっている。

株価は業績悪化を背景に、14年の上場来高値6060円から大幅な調整を挟んだ。ただ、低迷期を脱しつつあることで、今春以降は力強い値動きを取り戻した。国内では九州の大雨の影響が懸念される一方、テーマパークのハウステンボス事業の回復や、ロボットが接客する「変なホテル」の高稼働が支えとなる。当面は4000円台(12日終値は3245円)の奪回が目標だ。

海外旅行のオンライン予約拡大を追い風とするのはエボラブルA。従来は訪日旅行客などを中心とした国内旅行が中心だったが、今年4月には格安海外航空券の価格比較サイトをオープン。LCC(格安航空会社)の航空券販売も開始するなどアウトバウンドに注力している。

株価は2月の実質上場来高値3920円から調整し、足元では3000円前後で三角もちあいが煮詰まっている。13週移動平均線と26週線のゴールデンクロス達成が迫り、相場は上放れ期待を強めつつある。6月にはベトナム航空のオンライン予約サービスにも乗り出した。

このほか、航空券価格比較サイト「トラベルコ」のオープンドア <3926> は、北米旅行ツアーを強化中。ネット旅行予約の旅工房(6548> やアドベンチャー <6030> 、海外旅行で欠かせないWiFi(公衆無線LAN)関連ではビジョン <9416> やワイヤレスゲート <9419> も有力だ。(7月13日株式新聞掲載記事)

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