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上場の目的は民営化と債務削減

大阪の松井知事は、6000億円以上の事業価値を持つ大阪市営地下鉄を株式上場させ、民営化策としての意向を明らかにしました。これは経済活性化を図るため民間投資を促し、債務削減に上場で得た資金をも振り向ける策であると同時に、近年地盤沈下気味である大阪経済を立て直しすことで東京都を追い上げる戦略の一環といえるでしょう。松井知事はブルームバーグとの4月8日のインタビューでは、橋本徹大阪市長とともにこの市営地下鉄民営化について、「任期中のあと1年9カ月の間で形を作りたい」と発言しています。地下鉄を株式会社化した上で上場させるという考えを明らかにし、民間への株式売却案も検討するとの事です。両氏は、大阪都構想として府と市の二重行政解消に向け話を進めています。

実はこの両氏の属する大阪維新の会は政権公約であるマニフェストで、公共交通を民営化するというもののほかにも、国が解禁を検討しているカジノ誘致や規制緩和で、観光客はもちろん企業や投資家を国内外から呼び込む方針を打ち出しています。大阪経済を引き上げ、公的債務の一段の削減に民営化で得た資金を元手に踏み込む構えなのです。


地方選の争点にも?

この地下鉄民営化には市議会の3分の2の同意が必要ですが、大阪市議会事務局によると、全86議席のうち、与党・大阪維新の会は32議席と半分に満たないのが現状です。松井知事は、市場経済について非常に理解が低いと野党について述べ、もし同意が得られない場合は、来年行われる統一地方選挙の争点になるとも述べています。


交通インフラに再投資出来るかも?

市は昨年5月に地下鉄事業民営化基本プランを策定し、一連の経済改革の一環として具体化に動き出しました。松井知事は、ストックを売却すれば新たな路線にも投資できると、公共サービスの民営化を加速する背景について話し、売却益を交通インフラの再整備などに充てる考えも示しています。現状では約1時間かかる中心部と新関西国際空港間を38分まで短縮できる「なにわ筋線」、他4新線建設(総事業規模5500億円)などのインフラ投資を検討しています。

日本地下鉄協会によると、完全民営化を目指す東京メトロと並んで大阪市営地下鉄の民営化は2例目となり、市交通局の試算では事業価値は6000億円強、年間輸送人員は8億5974万人で、東京メトロの約3分の1の規模です(同協会調べ)。地下鉄民営化基本プランによると、経済の停滞に伴う人口減少を背景に、11年度の市営地下鉄の乗車人員は1日当たり228万人と、ピークの90年度に比べて約19%も落ち込みました。経営環境は厳しさを増すと、今後も少子高齢化の進展での影響が関係すると同プランは予想しており、市の一般会計から10年間で計1980億円もの補助金などを繰り入れていて、市財政の硬直化で維持できなくなる恐れがあるとしています。