民営化すればサービスの向上や運賃値下げさえも可能だと主張

民意を無視することはできなくなる、選挙を経て議会勢力の流れが変わったことを理由に民営化実現に自信を見せました。内閣府の調べでは、大阪府の経済は2010年度までの10年間平均で1%のマイナス成長で、同年度の県内総生産(GDP)は36兆円で全国2位ですが、首位の東京都の4割程度にとどまっています。景気拡大のための起爆剤として何か欲しいところでしょう。大阪府の人口は3月時点で推計885万人と、前年から約7700人減少しているのに対し、東京の人口は1330万人と約7万8000人も増加しました(それぞれ大阪府と東京都の調べ)。国立社会保障・人口問題研究所の地域別将来推計人口によると、大阪の人口は25年に841万人にまで減少する見通しです。

大阪市営地下鉄民営化の直接的なメリット・デメリット

大阪市営地下鉄民営化の直接的なメリットの一つとして、事業に関わる人々が公務員でなくなり、民間企業の従業員になるということです。公務員であれば、従わなければならない規則や法律がたくさんあり、将来の地下鉄需要を予測しながらリスクを排除し、スピード感をもって経営にあたることは困難と言えるでしょう。しかし民間企業になれば、資金調達、意思決定、会社の組織編成などの決定の自由度が拡大し、効率性が増す見通しです。そのことを株式市場が予測すれば、将来の株式上場時に回収される金額が大きくなるので大阪市民にとってメリットになります。

民営化のデメリットとしては、事業の収益性や採算性が重視されるようになり、市営であれば新設・維持される路線について今後はどうなるかわからないという不安が挙げられます。現在の収益性を路線別に見ると、御堂筋線、谷町線、四つ橋線、中央線、堺筋線の5つが営業収支ベースで黒字であり、千日前線、長堀鶴見緑地線、今里筋線、南港ポートタウン線(ニュートラム)は赤字です。また、支払利息を含めた経常収支ベースで見ると、黒字なのは御堂筋線、谷町線、中央線の3つだけです。民営化することでリスクがあることは間違いなく、今後の市民の生活に悪い影響としてあらわれることがない策を講じてもらいたいものです。

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