リスクバッファーを積み増し業績予想は据え置き
ソニーが1日に発表した第1四半期(4-6月期)の営業利益は、前年同期比2.8倍の1576億円となりました。しかし、熊本地震の影響など一時的要因を除いた前年の第1四半期の営業利益1094億円と、カメラモジュール製造子会社の譲渡益や熊本地震関連の保険金の受取など一時的要因を除いた今期の第1四半期の営業利益1208億円を比べた増益は114億円で、実質ベースの増益率は10%強となります。
ソニーは4月に公表したゲームとデジタルカメラ、イメージセンサーの3セグメントの営業利益の予想を今回、上方修正しています。ゲームについては競争環境やタイトルスケジュールを見直したことなどにより100億円見通しを引き上げたほか、カメラについては円安の影響などにより120億円、イメージセンサーについても価格維持の努力やコスト削減効果などにより100億円引き上げています。
しかし、3セグメントの営業利益の上方修正額合計の320億円と同額のリスク費用を計上することで相殺し、4月に公表した5000億円の通期の営業利益の予想は変更されませんでした。これによりリスクバッファーは4月時点でみていた400億円に、3セグメントの上方修正分が新たに積み増され約700億円となっています。上方修正よりも、よりリスクに備えることにより下振れしないことを重視しているようです。
益嶋 裕
マネックス証券
フィナンシャル・インテリジェンス部マネージャー
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