巨額のオイルマネーによる購入

ADUGによるマンCの買収額は2億ポンド(約400億円)。ADUGのスライマン・アルファヒム氏は、マンCを買収した2008年に、「来季は欧州チャンピオンズリーグ出場」、「3年以内にシティをイングランドの4強に入れる」、「さらに最高峰の選手を獲得する」、「目標はシティをイングランドのみならず世界屈指のクラブにすること」と壮大な計画を掲げました。

この買収によりADUGの世界的な知名度が上がり、投資会社として投資家を集めることや投資対象を獲得するとともに、サッカービジネスへの投資によるリターンを上げることを狙っています。また、UAEの才能あるサッカー選手がプレミアリーグでプレーする道が開けることも期待していると言われています。

ADUGによるマンC買収というビッグニュースの後、すぐさまレアル・マドリードからロビーニョを英国サッカー史上最高額の移籍金、3240万ポンド(約65億円)で獲得し、財力と存在感を誇示しました。マンCのオーナー権がADUGに渡った2008年から、ADUGは、名だたる選手を次々とチームに入れ、プレミアリーグ最強のチームを創り上げました。金にものを言わせた強化方法であり、賛否両論ありますが、マンCが欧州サッカー界での地位を確立しました。

2008年以降、マンCが獲得した選手数は40に登ります。2014年4月、スポーツ専門チャンネルESPNのマガジン&スポーティングインテリジェンスが、選手1人当たりに最も高額な報酬を支払っているスポーツクラブを公表しましたが、トップはマンC 533.7万ポンド(約9億1800万円)で、2位はニューヨーク・ヤンキース(米・野球、528.6万ポンド)でした。サッカー部門では、レアル・マドリードが2位(499.3万ポンド)、バルセロナが3位(490.1万ポンド)で、マンCはスター選手を獲得し、高い報酬を支払っています。

クラブチームのその後の成績

レアル・マドリードからロビーニョを獲得し、翌2009年冬の移籍市場では当時史上最高額ともいわれる移籍金でACミランからカカの獲得を試み失敗するも、あり余る資金力を背景にウェイン・ブリッジ、シェイ・ギヴン、クレイグ・ベラミーなどの実力者達を獲得しましたが、マンCの2008-09シーズンはプレミアリーグを10位と、すぐには結果が出ませんでした。

しかし、マンCは、スター選手の獲得を継続し、2011-2012シーズンで、劇的な44シーズンぶりのプレミアリーグ制覇を果たしました。また、マンCは、2013-2014シーズンで、2シーズンぶりにプレミアリーグの覇権を奪回しました。またリーグカップも制覇し二冠を達成しました。ADUGによるマンC買収から、名だたる選手を次々とチームに入れ、プレミアリーグ最強のチームを創り上げることに成功しました。見事、巨額のオイルマネーで成功を買ったと言えるでしょう。

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