第2四半期、ブロックチェーン分野のICOによる資金調達額は7.9億ドル(前四半期比22倍)で、同分野へのVCによる投資2.3億ドル(同2倍超)を大きく上回ったことがコインデスクによって明らかになった。

ICOによる資金調達は前四半期は3600万ドルに過ぎなかった。

しかし中国でICOが違法になったことで風向きが大きく変わるなど、第3四半期も同様の快進撃が続くとはいいがたい状況だ。

3カ月で市場価値が1000億ドル超え バンコールが最大の資金調達

第2四半期は仮想通貨市場にとって、歴史に残る跳躍の時期となった。

わずか3カ月で仮想通貨の市場価値は250億ドルから1000億ドルに、ブロックチェーン・トークンの市場価値は1000億ドルを上回るまでに成長した。

ICOが価格の高騰に大きく貢献したことは疑う余地がない。VC投資も前四半期比2800万ドル増と好調だったが、ICOは7.4億ドル増という驚異的な伸びを見せた。

ICOで最大の資金を調達したのはバンコール(1.5億ドル)。英国で1940年代に発案された「国家に縛られない通貨」というコンセプトに基づいた、「バンコール・プロトコル」 と称する中間トークン・プロジェクトだ。

次いでステータス(9500万ドル)、TenX(8310万ドル)、モバイルゴー(5310万ドル)が、巨額の資金獲得に成功した。

中国政府の規制強化で価格が急落、今後の動きに注意

注目すべきは仮想通貨熱が高まるにつれ、投資家の関心がこれまで市場の9割を独占していたビットコインから、イーサリアムやライトコインといったほかの仮想通貨に分散し始めた点だ。

価格の高騰にも関わらず、ビットコインの時価総額が市場を占める割合は、第2四半期末にはおよそ4割に減っている。

しかしこうした仮想通貨およびICOの盛り上がりも、中国政府によるICO全面禁止を受け、今後の行方が懸念されている。9月1日に4950ドルだったビットコインの価格は、4日に4319ドルまで下落。

6日には4563ドルまで持ち直しているものの(コインデスク調査 )、中国政府がさらなる強化にでた場合、あるいは他国で同様の動きが察知された場合、価格の暴落の引き金となっても不思議ではない。

現に米国証券取引委員会(SEC)などは、再三にわたりICOに伴う危険性に警告を発している。

394ドルから273ドルへ急降下したイーサリアムは、7日現在324ドル。88ドルから59ドルへ落ち込んだライトコインは、78ドルまで回復を見せている。投資家にとっては目の離せない時期となるだろう。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)

( FinTech online編集部

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