各種報道によると、安倍首相は9/28(木)に召集される臨時国会の冒頭にも衆議院を解散する意向を固めたとのことです。投開票が実施されるのは10/22(日)との見方が有力となっています。

そこで、今回は総選挙と株式市場の関係について調べてみることにしました。仮に総選挙が実施されることになった場合、株価はどうなるのでしょうか。また、総選挙の時期に上がりやすい銘柄はあるのでしょうか。

総選挙と日経平均の関係~解散から総選挙投開票の間は上昇の傾向

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(写真=PIXTA)

各種報道によると、安倍首相は9/28(木)に召集される臨時国会の冒頭にも衆議院を解散する意向を固めたとのことです。投開票が実施されるのは10/22(日)との見方が有力となっています。仮に総選挙が実施されることになった場合、株価はどうなるのでしょうか。

図1は東証再開(1949年5月)以降に実施された総選挙と日経平均株価の関係を調べたものです。「解散から投開票まで」および「投開票後1ヵ月」という2つの期間について、日経平均株価の騰落率をグラフ化してみました。一番右側は、全23回の総選挙の平均をグラフ化しています。「解散から投開票まで」の期間は平均で1.9%、「投開票後1ヵ月」は同0.7%という結果になっています。なお、前者の期間について日経平均株価の勝敗は「23戦17勝6敗」となっています。

総選挙の時、株価は上昇しやすいと言えそうです。9/18(月)に「衆院選、10月下旬投開票」と報道(日経新聞)された直後の営業日(9/19)、日経平均株価は前日比389円超も上昇し、2万円の大台を回復しました。米国株の上昇に加え、総選挙実施が濃厚となったことで、株高期待が増幅された可能性もありそうです。

もっとも、過去23回の総選挙のなかで6回、「解散から投開票まで」の期間に日経平均株価が下がっているケースがあることも事実です。直近では、安倍首相が経済政策の継続を主張して実施した総選挙(2014/12/14)の際、株価は下落しています。今回も上記報道直後に大きく上昇してしまった分、「解散から投開票まで」の期間に反動が出やすくなる面もありそうです。

図1:総選挙と日経平均の関係

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「衆議院」公表データ、Bloomberg等をもとにSBI証券が作成。縦軸は対象期間の日経平均騰落率(%)、横軸は東証再開以降の総選挙回次を示す。投票日株価は、当日が休日の場合は直後の営業日株価、また「投票後1ヵ月」は、投票日直後株価計測日から31日後(休日の場合は直後の営業日)における株価を使用。

総選挙の時に上がりやすい銘柄はあるのか?

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株式市場では、いくつかの銘柄が「総選挙関連銘柄」と捉えられていることは確かです。その代表格は選挙案内用封筒を手掛けているイムラ封筒 <3955> や選挙システムを販売しているムサシ <7521> 、選挙出口調査システムを取り扱う福井コンピュータホールディングス <9790> などです。9/18(月)の報道を受け、イムラ封筒は9/19と9/20に2日連続のストップ高(図2)となり、ムサシと福井コンピュータホールディングスも9/19は大幅高になっています。

ただ、これらの銘柄は資金の出入りが激しく、短期間に織り込みが進んでしまう傾向があり要注意です。2014/11/21に解散となった前回の総選挙では、解散以降投開票(2014/12/14)までの株価はいずれも下落しています。

総選挙に関連する意外な銘柄で、まだ市場で話題になっていない銘柄はないのでしょうか。

そこで「日本株投資戦略」では過去5回の総選挙の時の株価について調べ、総選挙の時に上昇しやすい銘柄はあるのか、以下のスクリーニングを行うことで調べてみました。

(1)時価総額1千億円以上(9/20現在)の東証上場銘柄
(2)過去5回の総選挙で、解散以降投開票日(翌営業日)までの株価上昇率が平均で5%以上
(3)過去5回の総選挙すべてについて、解散以降投開票日までの株価が上昇

上記の全条件を満たした銘柄を(2)の株価上昇率が大きい順に並べたものが表1となります。業種的には特に建設機械が総じて上昇しやすいようです。また、広い意味では設備投資に関連した銘柄、企業間取引の形態を取っている企業が多いようです。選挙を通じ、公共投資や政府投資に対する期待が高まりやすいことが背景となっている可能性があります。

総選挙の時に上昇する傾向のある銘柄~建設機械が総じて強いイメージ

仮に総選挙が実施された場合、関連銘柄は?

報道等によると、安倍首相は消費増税(2019年10月予定)により見込まれる増収分5兆円超のうち、1兆円超を教育などの充実策に振り向ける検討に入った模様です。幼児教育の無償化や給付型奨学金への資金手当てなどが検討される可能性がありそうです。

もともと「子育て支援」は、経済や社会福祉と並びアベノミクス「新3本の矢」のひとつを形成している政策の「要」になっています。消費増税の増収分を財政再建以外の目的に使うことについては反発も予想されますが、少子高齢化の一因になっている人々の「将来に対する不安」を少なくする効果は期待できそうです。

表2では幼児教育関連銘柄および給付型奨学金に関係した銘柄を掲載しています。前者については、SBI証券のWEBサイトで株式検索窓に「幼児」と入力し、表示される銘柄となっています。また、後者については上場企業の中で奨学金管理システムに展開している企業をご紹介しています。

株式市場では、幼児教育関連銘柄としては、社名からも連想しやすいためか、幼児活動研究会 <2152> が注目されることが多いようです。また、表1に掲載した以外ではJPホールディングス <2749> が知られているようです。両社とも、9/18(月)の報道を受け、9/19(火)の株式市場では大幅高になっています。その他の銘柄では特に大きく動いた銘柄はないようですが、アイティフォー <4743> は同報道後やや堅調な動きになっています。

「幼児教育」または「奨学金管理」に関連する銘柄

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

鈴木英之
SBI証券 投資調査部

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