7-9月期は前期比ほぼ横ばいも、実勢は1%程度の伸びが継続

製造工業生産予測指数は、17年9月が前月比▲1.9%、10月が同3.5%となった。生産計画の修正状況を示す実現率(8月)、予測修正率(9月)はそれぞれ▲1.3%、▲0.2%であった。

56777_ext_15_4

業種別には、9月ははん用・生産用・業務用機械(前月比▲7.5%)、情報通信機械(前月比▲14.1%)の大幅減産が全体を大きく押し下げる一方、10月ははん用・生産用・業務用機械(前月比10.3%)、電気機械(前月比11.6%)が前月比二桁の高い伸びとなるなど、非常に振れが大きくなっている。

一方、実績値が予測指数に近い傾向がある輸送機械が着実な増産計画(9月:前月比0.6%、10月同0.7%)となっていることは好材料といえる。
17年8月の生産指数を9月の予測指数で先延ばしすると、17年7-9月期は前期比0.1%となる。4-6月期の伸び(前期比2.1%)を大きく下回ることは確実で、生産計画が下方修正される傾向があることを考慮すれば、6四半期ぶりに前期比でマイナスとなる可能性もあるだろう。

56777_ext_15_6

ただし、最近の鉱工業生産は月々の振れが非常に大きいため、基調が読みにくくなっており、月次は言うまでもなく四半期ベースの伸びも生産の実勢を必ずしも反映していないことには注意が必要だ。

四半期を1Q(12-2月)、2Q(3-5月)、3Q(6-8月)、4Q(9-11月)、というように通常と1ヵ月ずらした上で前期比を試算すると、16年3Q以降前期比で1%台の伸びを続けており、直近の17年3Qも前期比1.2%となる。

鉱工業生産は基調としては前期比1%台(年率5%程度)と好調な動きが続いていると判断される。

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

斎藤太郎(さいとう たろう)
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 経済調査室長

【関連記事 ニッセイ基礎研究所より】
2017・2018年度経済見通し~17年4-6月期GDP2次速報後改定
貿易統計17年8月~米国向けを中心に輸出数量の伸びが急加速
法人企業統計17年4-6月期~企業収益絶好調でも設備投資は低調、4-6月期の成長率は下方修正へ
資金循環統計(17年4-6月期)~個人金融資産は、前年比77兆円増加の1832兆円に、過去最高を大きく更新
円貸出・マネタリー統計(17年8月)~不動産向け融資の減速が鮮明に