毎月1回マネックス証券チーフ・ストラテジスト 広木隆氏に今後の株価動向などを直撃します。(動画公開日 2017/11/12)

「グローバル経済の好調さを背景にリスク資産選好継続」ーーマーケットの歩き方(2017年11月版)

みなさん、こんにちは。2017年11月の月刊マーケットの歩き方です。

この度マネックスアドバイザーをご利用の皆様も、この私の資産配分、各アセットクラスに対する見方など、アロケーションを参考にしていただくと、利用していただくということも可能になったということなので、一層、気合いを入れて皆さんに私の見方をご提供していきたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。

さて、早速、今月のですね、資産クラスの投資配分・判断なんですけれども、変えたところはですね、ハイ・イールド債、今まで「中立(ニュートラル)」であったものを「強気」に、それから新興国の債券は「弱気」にしていたものを「強気」に転じました。この背景はですね、一番上のタイトルにある通り、今、非常にグローバル経済が好調であるということに尽きる。アメリカのGDPも先般発表ありましたけれども、ハリケーンの影響とかにもかかわらずですね3%の成長。今、アメリカの議会のほうでやってますけども、税制改革法案ですね、これ次第では、ペンス副大統領は3.5%から4%ぐらいの成長も可能じゃないかと述べていました。

マネックスTV 広木氏17年11月
(画像=マネックス証券、クリックすると拡大画像が出ます)

ただこれ今どうなるか分からずにですね、非常に遅れに遅れて年内難しいんじゃないか、先送りになるんじゃないかとか、あるいは段階的な減税になってしまうんじゃないかとか、まだ非常に不確定要因なんですけども、僕の前提では、少なくとも決まるには決まる。年またぎになるんでしょうけれども決まって、年初から遡及して適応ということにでもなればですね、もちろん景気浮揚効果があるし、アメリカの景気拡大も9年目に入って、戦後最長と言われる10年の景気拡大期というのも視野に入ってきている。

我が国も先般、政府が正式に、本当の正式には有識者の景気判断委員会で決めるわけだけれども、内閣府の判断として、今もう58ヵ月に景気拡大及んできて、これは戦後2番目に長かった、いざなぎ景気を抜いてるというような話も出てきました。

何と言っても、本当の景気が強いからどうかというのは別なんですけれども、人手不足を背景として有効求人倍率も1.5倍、ほぼ完全雇用の状態にあって、働こうと思う意思のある人はほぼ職は皆さんあるというような状況です。非常に日本経済も、実感は乏しいものの、成長しているのは間違いない。GDPもまた来週発表がありますけれども、そこでおそらくプラス成長なんでしょうけれども、そうすると7四半期連続の成長ということになっております。

あれほどちょっと前まで、高失業と低成長に悩んでたユーロ圏ですけれども、先般欧州委員会が景気見通し出しましたけれども、非常に強い状況、17年ぶりくらいの高い水準、これはPMIの水準なんかでもそうですし、非常にヨーロッパも今、強い状況にあります。

全世界的には景況感が強いというのが背景に、これが背景となって今、世界的な株高が起きている、これは日本も例外ではないと思いますね。この収録をしてるのは11月10日、金曜日の夕方なんですけれども、本当に今週は象徴的な出来事が多くて、日経平均がバブル崩壊後の高値、1996年につけたですね、バブル崩壊後の高値、一度も抜けなかった――その後ITバブルの時もリーマンショックの前も抜けなかった高値を抜いたとか。そこを抜けると25年ぶりの高値になってくるとか。日経平均だけじゃないですよね。TOPIXも1800ポイント台をつけるとか。

他の国に比べれば、みんな他の国はですね、史上最高値な訳で日本だけが二十何年ぶりなんて言っているわけですけれども、それにしてもですね、あれだけ歴史的なバブルの時代のその直後ぐらいまで今、戻っている。その背景はやはり冒頭申し上げた、世界景気の好調さにあるということです。

あともう1つの出来事としてはですね、アメリカのFRBの議長の人事にジェローム・パウエル氏が選出されました。これはいろいろあるわけですけれど、とりあえずマーケットとしてはこれで落ち着いて、金利も為替も落ち着いているわけです。

そうするとやはりアメリカの利上げが及ぼす影響としては、新興国のところですね。特に新興国の通貨というのは、やはりアメリカの利上げに弱かったりする。(弱かったり)したと言ったほうがいいのかもしれませんね。過去そういう経緯がありました。

だけど、とりあえず穏健派とされる現職の理事である、ジェローム・パウエル氏が次期のFRBの議長に就任するということは、現行のイエレン路線、いわゆるハト派の路線が引き継がれるでだろうというふうにマーケットは考えている。実際のところは分かりません。マーケットはそう見ているということが重要です。

なので過度に激しい、今、アクションが金利や為替で起きてないということ、これがやはり新興国の通貨、それから債券にとってはフェイバー(Favor)なんじゃないかなと思います。

おそらく12月の利上げっていうのは、これはマーケット織り込み済みですから、それが終わってもほとんどもう影響はないであろうと思い、そういったことからですね、これまで非常にアメリカの金融政策正常化で一番割りを食うであろう資産クラスとして、新興国の債券っていうのは非常に「弱気」にしてましたけど、これを一気に「強気」に傾けていくと。

やはり世界の景気が強いというときは新興国、エマージング、それからコモディティ、こういったものが非常に有利になるわけです。そういう意味ではリスキーなアセットクラスであるハイ・イールド、ここも強気に変えました。実際問題、デフォルト、債務不履行ですね、こういったものも減ってくるであろうし、そういったクレジットサイクルからしても、ハイ・イールドのところも「強気」で構えていってもいいんじゃないかなと思います。

そうするとやっぱり「弱気」なのは先進国の債券、それから社債、こういったところが、好景気であれば金利がじわりじわりと上がってくるということから考えると、ほとんど金利がまだ全然低い段階にある。イールドがあんまり稼げていないこういった債券を積極的に保有する理由はないのかなと思っております。

ということで、今、世界の経済、景気自体、非常に堅調であると。であるならば、リスク資産、株式であるとかあるいは格付けの低い債券、新興国の株債券などのアセットクラス、そしてコモディティとそういったところを選考するのがいいのではないかと思います。

いつもREITについてご質問いただくんですけども、REITというのは準債券なものですから、景気が強くなって金利が上がる局面ではどうしても売られてしまうと。

ただREITというのは価格変動を取るというよりも、あくまでも本当に家賃、債権として、債券のクーポン収入と同じように賃料収入を得ていくものというふうに位置付ければ、本当に利回りだけで勝っていける。この今の金利に比べると、まだやっぱり家賃収入っていうのは魅力的なイールドにあると思いますので、REITの一定程度の組み入れっていうのは別に悪くはないと。価格だけで見ればもちろん、弱気に構えますけれども、そういった意味で、キャッシュジェネレーターとして使うぶんには悪くないんだろうと。

本来であれば、景気が良くなると賃料も上がってくるので、なおさらいいはずなんですけれども、そこはちょっといろいろ特殊要因、特に国内REITの場合、2018年問題とか、ビルの供給過剰であるとか、なかなか日本の賃料が上がりにくい構造があってですね、そういった一般論が通じない部分がありますけれども、今申し上げた通り、一定の家賃収入を確保するという観点からのREITは一定程度の組み入れが望ましいと考える次第でございます。

今月も私の資産クラスの見方をどうぞご参考にしていただければ幸いでございます。また来月お目にかかります。

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(情報提供:マネックス証券)

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